ハイブリッドワークでも議論できる組織にするためのPPM分析入門

公開日 2022年3月28日 最終更新日 2022年9月22日

ハイブリッドワークでも議論できる組織にするためのPPM分析入門

コロナ禍で「双方向で話しやすくする」ツールが注目を集めましたが、それらはオンライン会議ソフトだけではないことをご存知ですか?

Miroがまさしくそうです。

実はMiroのようなビジュアルコラボレーションプラットフォームを導入した企業には、特徴がありそうです。

この記事では、そのような企業がMiroのテンプレートを活用する場面を想定して、事業分析をする使い方をご紹介します。ユースケースにはPPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)分析を使用します。市場成長率と相対的な市場シェアから今後の戦略指針を考えるときに便利なフレームワークですね。

ハイブリッドワーク(リモートワークと対面出社が混在する働き方)において、スムーズに判断を進めるヒントになれば幸いです。

この記事でご紹介するMiroのテンプレート

BCGマトリックスhttps://miro.com/templates/bcg-matrix/

この記事は、以下の英語の記事を元に執筆しています。

https://miro.com/blog/what-is-a-bcg-matrix/

コロナ禍で「一方向に伝える」のではなく「双方向で話しやすくする」ツールが注目を集めた理由

働く人の意識が変わりつつある

私たちがコロナ禍を経験して以降、多くの人が自らの「働きがい」を見直しはじめています。自らが議論に参加し組織の決定に関わっていると感じられることは、当然ながら「やらされ仕事」よりも働きがいにつながります。

今までごく限られた経営陣がPPM分析のようなフレームワークを活用してきた組織でも、Miroのようなデジタルツールを活用して現場で議論に参加するようになれば、働く人のエンゲージメントを高めやすくなります。

なぜ現場レベルに落ちると腹落ちできなくなってしまうのか

コロナ禍以前から、戦略が現場の戦術レベルに落ちていくにつれて、従業員が腹落ちできなくなってしまう現場をご覧になったことはありませんか。現場の腹落ちが十分でないと、中間管理職にも負担がかかって信頼関係やモチベーションにも悪影響が出る恐れがあります。

コロナ以前まで現場と直接対話しに出張で飛び回り、努力を尽くしてきた経営層の方々のなかには、直接対面する機会が取りにくくなって心を痛めている方もおられるはずです。

そのような努力をされている背景には、

「プレゼンで決まった方針を話すだけでは、経緯や思いが伝わりきらず腹落ちできないのではないか。もっと社員の心をひとつに寄せる必要がある。」

といったお考えがあるのではないでしょうか。

実は、人々の働く意識が変わったこのタイミングは、最大の危機でありチャンスでもあります。

ハイブリッドワークでも現場の納得感を増すには、デジタルツールの活用度合いが鍵に

コラボレーションプラットフォームであるMiroは、コロナ禍のタイミングで米国企業だけではなく、日本でもオンラインでの業務効率や体験を向上させたい企業に採用されました。日本では既にTOPIX100の60%以上の企業が採用しています。

経営層が学べる最大のヒントは、コミュニケーションに対する向き合い方の違いにあります。

対面での上意下達がうまくワークしていた組織ほど「一方的に伝える」効率、腹落ちに着目しがちですが、Miroを採用する組織は「双方向で話しやすくする」効率も考えています。

典型的な例が、アジャイル開発です。アジャイル現場の現場は「透明性」を大切にしています。ホワイトボードに付箋で進捗を貼り付け、全ての事柄をチームで共有する、といった進め方をしてきた彼らがMiroを採用することは、「情報の非対称性を減らせる」ということを意味しています。

「職位が横並びの組織なら当然だろう。」と思われるかもしれませんが、PMF(プロダクトマーケットフィット)のように市場の動きに敏捷に合わせていく戦略を採用していれば、営業、マーケティング、プロダクトマネージャー、カスタマーサクセスなど様々な縦や斜めの組織とも連携しなければなりません。

市場の動きに敏感に反応するには、現場はオーナーシップを持って議論し、ステークホルダー全員が早く合意して物事を執行していく必要があります。このような現場の働きは、多くの経営層の方が望まれている状態だと思います。

そのような現場でプレゼンテーションのような情報共有手段の比重が高いと情報伝達のタイムラグが大きくなりがちなので、Liveで齟齬なく議論が進む、履歴が残ることのほうが重視される傾向があるようです。

「一方向に伝える」よりも「双方向で話しやすくする」ことに着目するのが、ハイブリッドワークにおいても力強く事業を推進していくヒントです。

Miroのようなコラボレーションプラットフォームで現場での議論が活性化することで、以下のような効果が期待できます。

  • 現場により近い管理職やマネージャーが事業の位置づけや方針を話しやすくなる
  • 管理職とメンバーが、事業が置かれている環境と方針について共通認識を持ちやすくなる
  • (Miroのテンプレートを利用することで)有用なフレームワークを活用できる従業員が増え、組織レベルが底上げされる
  • 事業方針の根拠が明確(参加による腹落ち)になることで納得感が増し、OKRなどの目標管理がスムーズになる

ホワイトボードで上手に議論をリードする日本のビジネスパーソンは、ハイブリッドワークで消えてしまう?

現場が、ビジネスフレームワークの利点と欠点を踏まえつつ適切な場面でそれらを道具として使いこなせたら、喜ばしいですね。

PPM分析を例にとると、元となる数値の入力や計算などは、今までもExcelやGoogle Sheetなどでできていました。BIツールのダッシュボードでグラフを見る習慣がある企業も多いでしょう。

しかし、それらをプレゼンテーションに埋め込んで発表することはあっても、「議論」はこれまでのデジタルツールでは難しいのではないでしょうか。

経営層には、会議室のホワイトボードを使って議論を整理したり角度を変えて伝えるのが上手な方がたくさんおられると思います。会議室のホワイトボードに図を書いて上手にファシリテーションする人は賢く、リーダーシップがあり、優れたビジネスパーソンという感じがしますね。ところが、日本の現場でこのスキルをデジタルでも発揮する人の数は、2022年現在、決して多くないはずです。

ホワイトボードで上手に議論をリードする日本のビジネスマンは、ハイブリッドワークで消えてしまう?

なぜならコミュニケーションがデジタルに移行したにも関わらず、ホワイトボードをデジタル化している日本企業はまだまだ少ないからです。

働き方改革が進み、ハイブリッドワークが浸透していくこれからの時代、リアルのホワイトボードだけの活用を続けていると、その日に在宅勤務をしているメンバーは取り残されてしまいます。それは決してマネジメントの観点から得策ではありません。

米国ではMiroで現場の「透明性」を高めてコミュニケーションを効率化したことで、コロナ禍にもかかわらずプロジェクトの工数を一気に削減するなど、デジタルへの置き換えに成功している企業も多くあります。

オンラインでもスムーズに議論を~PPM分析を事例に

ここからはPPM分析のおさらいをしながら、Miroでの議論の進め方がどのようなものか、ご紹介していきます。

PPM分析の目的

PPM(プロダクトポートフォリオマネジメント)分析はBCG Matrix、Growth Share Matrxとも呼ばれ、1968年にボストン コンサルティング グループの創設者によって開発されたフレームワークです。組織においてこの分析を行う目的は、事業もしくはプロダクトの収益性を関係者がひとめで俯瞰できるようにし、経営資源をどのように分配していくべきか決断できるようにすることにあります。

PPM分析とは?

この分析は、4象限のバブルチャートで表現されます。市場成長率と相対的な市場シェアの縦横の2軸に基づき、花形(Stars)、金のなる木(Cach Cows)、問題児(Question marks)、負け犬(Dogs)の4つの象限を作ります。

そこに、売上高などをバブルの大きさで表現した事業をマッピングしていきます。

以下が、それぞれの定義です。

定義
相対的な市場シェア最大の競合他社と比較しての市場シェア
市場成長率特定の市場規模が、前年と比較して成長する速度

象限定義
花形(Stars)高成長市場で高いシェアを得ている事業
金のなる木(Cach Cows)成熟した市場で高いシェアを得ている事業
問題児(Question marks)高成長市場にはあるが、シェアが低い事業
負け犬(Dogs)成長率が低い市場であり、シェアも低い事業

PPM分析でできること

PPM分析でできることは、事業が置かれている市場の将来性と、自社の事業が市場においてどれくらい機能しているのかを簡単にマッピングすることです。

PPM分析の象限と典型的な戦略方針

下図はPPM分析を視覚的に表したものです。アイコンの下は、決断の参考となる典型的な戦略方針です。

表にまとめると、以下のようになります。

象限説明典型的な戦略方針
花形(Stars)高成長市場で高いシェアを得ている事業市場の成長に合わせて投資し、シェアを強固に。
金のなる木(Cach Cows)成熟した市場で高いシェアを得ている事業投資を抑え、花形と問題児の資金源に。
問題児(Question marks)高成長市場にはあるが、シェアが低い事業市場の成長に見合う追加投資をするか撤退するかを見極める。
負け犬(Dogs)成長率が低い市場であり、シェアも低い事業将来性に乏しいため撤退を検討すべき。

PPM分析の例題を解いてみる

それでは実際に、Miroを活用して例題を実践してみます。

PPM分析は60年代~70年代に製造業の製品ラインを管理するために作成されたものですが、事業ドメインは問いません。将来性が低いプロダクトに過剰投資することなどがないよう役立てることができます。尚、数値分析については、ExcelやGoogle Sheetなどの表計算ソフトをお使いください。Miroボードには簡単にデータを反映することができます。

分析する

下表は、PPM分析に必要な数値を含んだ架空の事業リストです。相対的な市場シェアと市場成長率の大小で、どの象限に分類されるかが決まります。

事業売上高最大の競合他社の市場シェア率自社の事業シェア率相対的な市場シェア市場成長率象限
事業A500万60%30%0.5(大3%(小金のなる木
事業B350万30%5%0.17(小2%(小負け犬
事業C250万33%54%1.6(大30%(大花形
事業D50万10%1%0.1(小16%(大問題児

市場シェアが分からないときは?

相対的な市場シェアは、以下のような計算式で簡易的に求めることができます。市場シェアの調査が難しい場合には、競合他社の決算資料などから収益額を調査してみてください。

手順

  1. (お使いの表計算ソフトで)最大の競合他社の市場シェア率と自社の事業シェア率から相対的な市場シェアを割り出します。
  2. (Miroボードで)それぞれの市場成長率と掛け合わせた大小を判断し、それぞれの象限にマッピングしていきます。その際、事業A~Dのおおよその売上高は図形の大きさで表すとよいでしょう。

元データは使い慣れた表計算ソフトに保持したままで構いませんので、4象限にプロットするところはMiroのPPM分析(BCGマトリックステンプレート)を利用して行います。まずはひとつの図で俯瞰できるようにすることで、関係者が話し合う前提を整えることができます。

PPM分析に限らず、標準テンプレートやユーザ企業がコミュニティで提供するテンプレートMiroverseを活用して、何クリックかですぐにビジネスに有用なフレームを検索・活用できるのがMiroの利点です。

以下のように、例題をMiroのBCGマトリックステンプレートにプロットしました。

MiroのBCGマトリックステンプレート:https://miro.com/templates/bcg-matrix/

オリジナルのBCGマトリックスのテンプレートでは横長の付箋が利用されていますが、付箋を選択すると表示されるメニューから簡単にバブルのような丸に変更することができますし、大きさも保持されます。

データの一元管理と反映ができる

元データについてはGoogle SheetsのURLを貼り付けただけでMiroのボードから閲覧や再編集を行うことができます。また、Excelをドラッグ&ドロップでアップロードすることもできますので、データを見ながら、右側のテンプレート上に簡単に書き込んでいくことができます。

数値管理は一元的に保ちつつ最新の情報をMiroボードに反映できるため、複数個所の数値を修正しなければならないような手間は発生しない

画面を切り替えるオーバーヘッドがない

さらに、計算シートと書き込むテンプレートとともに、PPM分析フレームワークのモデル(この記事の画像をコピー&ペースト)を貼り付けておくだけで、画面を切り替えることなく要領よく作業することができます。

画面を切り替える無駄が生じず自然に作業ができる

Miroで議論を進める

この例では、事業Bの売上高は全体の2番目ですが、PPM分析においては市場成長率が低い点を考えないとまずい「負け犬」であることが分かります。

リソースが有限であることを鑑みると負け犬である事業Bは撤収して、問題児や花形に集中してもいいのかもしれません。もしこれらの事業の当事者であれば、PPM分析からとるべき施策や課題について多くのアイディアを出せるはずです。「もしかすると負け犬の事業Bと問題児の事業Dを融合すると、イノベーションになるのではないか?」といったことは、こうした図式化で隣り合わせにしてみて初めて発想できることがあります。

誰も議事録を書く必要がない

Miroであればひとつのボードに出席者が全員でアクセスし、直感的な操作で書き込むことができます。この会議では、事業Bの撤退について、想定インパクトを推測してみることに決めました。影響が及びそうなステークホルダーや要素、判断に必要なシミュレーションを誰がいつまでに行うか、途中の進捗確認をいつ行うか、次回会議はいつ誰が進行するか、などを書き込んでいきます。

スペースの制限がないため、どんなアイテムに誰がどんなアクションをいつまでに起こすか、自由なフォーマットで書き足せる

よくある議事録のように縦書きでリスト形式などで書き込んでいくと、個々のアイテムの関連性が途切れてしまうため次の発想が出なかったり、まとめてやったほうが効率がいい社内調整などが見えにくかったりします。ですが、ボードに書き込んでいくと、例えば考慮アイテムを社内外に分けるのか、担当部署で分けるのか、など視覚的に次のステップをグルーピングしたり色分けしたりしやすくなります。

手書きの手帳やノートでこのような発想術をお使いの方もいらっしゃるのではないでしょうか。Miroはいわば、それを複数人のコラボレーションで実現するデジタルツールです。

実際に、ユーザ企業様からは一回の会議で以前より多くのことが決まるようになったというお声をいただいています。

会議回数は減らしても、非同期で作業とコミュニケーションは続ける

コロナ禍以降、世界的に会議時間が増えています。こまめな進捗確認や様子伺いなどで一度増えてしまった会議時間は、意思を持って進めないと削減していくのは難しいでしょう。

Miroの場合は、会議中の理解を促進するだけの同期的な使い方だけではなく、会議が終わってからもコメント機能を使って簡単な会話をしたり、ブレストやTo do管理を行うことができるので、非同期でのコミュニケーションも可能です。コメントはどの部分を指しているかを明確にできるため、音声での表現よりぐっと齟齬を減らすことができます。

作業完了も簡単に明確に

コメントについては左上部にあるトグルスイッチを切り替えることによって、解決済みであるかも表現することができます。些末な確認事項は全てボード上で履歴も含めて表現することができるでしょう。また、会議に参加できなかったメンバーがのちほどボードを確認して質問をする場合にも、心理的なハードルが少なくて済み、特定の人に知らせたい場合にはメールやSlackなどのチャットツールにメンションで通知することも可能です。

Miroの利点まとめ

豊富なテンプレート

  • PPM分析のようにビジネスで利用するフレームワークのテンプレートを検索し、すぐに活用することができます。

議論を可視化できる

  • 参加者が付箋やコメントで書き込むことで、誰かが議事録を書かなくても議論を可視化することができます。
  • 同時に書き込める量が多く、指す部分が明瞭なため、音声だけよりも同時にコミュニケーションできる質と量が高まります。

データの一元管理は継続できる

  • 使い慣れた表計算ソフトウェアの数値を反映するダッシュボードのような使い方をしながら、自由にコメントや議論、新たな図表などを追加することができます。

質疑応答やTo doの進捗を表現できる

  • コメント機能の左上のトグルスイッチを活用すると、解決済みであるかを簡単に示すことができます。

会議にいない人にも質問がしやすい

コメントのメンション機能を活用して、ボード上の質問箇所を明示しながらその場にいない相手に通知することができます。

PPM分析の弱点も知る

PPM分析は優れた手法ですが、見落としがちな注意点もあります。別の記事で詳しくご説明します。

チームワークを促進するコラボレーションプラットフォームMiro

Miroは、一般的なオンラインホワイトボードのイメージよりも柔軟で多様な使い方ができるのが特徴です。ハイブリッドワークにおいてバーチャルオフィスになるような、チームがより生産的に共同作業を進めるための多くの機能とエンタープライズ水準のセキュリティを備えています。グローバルではFortune100企業の99%が採用し、4,000万人が利用しています。また、日本ではTOPIX100の60%以上の企業に導入いただき、70万人以上が利用しています。

試験的に導入してみたい、説明を聞いてみたいなどのご要望がありましたら、お気軽にお問合せください。

日本の代表的なお客様(五十音順)

グローバルではFortune100企業の99%が採用しています。

もう少しプロダクトの概要を知りたい方は、Miroについてをご覧ください。サポート情報は、ヘルプセンターもご利用ください。まずは試してみたい場合は、どなたでも無料でご利用できます。クレジットカードのご登録などは必要ありません。

既にご利用の方は

かしお優

Miroのマーケティング部門に所属。事業会社でデジタルマーケティングやプロダクトマネジメントなどを経験してきました。フルリモートで多国籍の開発チームを率いた等身大の苦しみを活かして、Miroのオンラインコラボレーションの魅力を発信していきます。