お客様事例インタビュー

ニコンのMiro伝導の原点はUX・アジャイルへの果敢なチャンレンジにあった

公開日 2024年6月25日 最終更新日 2024年6月26日

ニコンのMiro伝導の原点はUX・アジャイルへの果敢なチャンレンジにあった

ニコンでは、BtoB領域の製品においてもUI/UXを重視した開発を進めています。Miroを導入した2018年当時は、メンバーが一同に会して模造紙やホワイトボードでアイデア出しや設計を行っていましたが、今ではMiroで実施し、アジャイルや人間中心設計を取り入れているそうです。どのように進め方を変革し、成功させたのでしょうか?

株式会社ニコン インダストリアルソリューションズ事業部 開発・技術統括部 第一開発・技術部 第二開発課の村上源(もとい)さんと、デザインセンター UI&インタラクションデザイングループの松田俊一さんに聞きました。お二人とも「HCD-Net認定 人間中心設計専門家」を取得したUXの専門家です。

UXを追求する

― お二人の事業部での役割について教えてください。また、業務でお二人はどのように関わっているのでしょうか?

村上: 私はこれまで、主にB2B製品の開発を担当してきました。例えば、カメラで撮影した画像から被検物の寸法や形状を非接触で測定する「画像測定機」や「半導体検査装置」、「工業用顕微鏡」などです。

村上源さん

松田: 私はデザインセンターに属しており、主にB2B製品のGUIデザインを担当しています。流れとしては、村上さんの部署をはじめとする各事業部から依頼を受け、プロジェクト毎にデザインに携わります。人間中心設計プロセスの知見を取り入れながら、個々の製品のUIデザインを支援しています。

松田俊一さん

Before Miro

― Miro以前はどのように設計や開発を進められていたのですか?

村上: 製品の開発やデザインを進める際には、日時を決めてメンバーが集まり、会議室のホワイトボードやテーブルに模造紙を広げて付箋やシールを使ってワークしていました。

付箋を活用し、ホワイトボードや模造紙でワークする例

村上: 当時は、終わったら1枚ずつ撮影してデジタル化し、次のワークや報告書へのインプットにしていました。デザインチームや他部署とは常に一緒に、同じ場所で仕事をしている訳ではないので、ワークの内容や結果を残し伝えるためデジタル化することが必須の工程でした。

紙を使ってユーザージャーニーマップのワークを行う場合の例。Miroの採用以前は、これらをデジタル化する作業を追加で行っていた。

松田: 私は、さまざまな事業部とユーザー理解やデザインについてすり合わせながら進める必要があるため、模造紙やドットシールを持って熊谷や大船など事業所間を移動していました。移動の他には、設営、片付け、ワークの内容をデジタルに保存し直すなどの時間も必要でした。

― どんなきっかけでMiroを使い始めたのですか?

村上:以前からニコンのB2B製品にも人間中心設計の概念を体系的に取り入れたいと考え活動していたのですが、2018年頃に協業させていただいたロンドンのデザインファームに、ホワイトボードツールのMuralを用いていることを教えていただいたのがきっかけです。他のツールとも比較しましたが、Miroの使い心地が良く、利用し続けています。

当時から対面ワークでもMiroで作業を進めていました。その後コロナ禍に入り在宅勤務へシフトしていくのですが、僕たちのチームはすんなり移行することができました。

After Miro

人間中心設計とMiro

― 人間中心設計では、なぜMiroが必要なんでしょうか?

松田: 製品を開発する過程では、企画前後でユーザーインタビューを行う、ジャーニーマップでユーザーの体験を推測・整理する、モックを作るなど、使い手のことを考える様々な活動が必要で、かつ、物事は繋がっています。そのときどきの前のプロセスでどうだったのか、Miroに情報を整理しておくことで全体を俯瞰できますし、関係者とのすり合わせも円滑に行えるので、とても便利に使っています。

ニコン流のアジャイルとMiro

― 村上さんはニコンでのアジャイル実践の第一人者とお聞きしました。アジャイルコーチとして社内研修などでも伝導されているそうですが、Miroのどんなところが良いでしょうか。

チームに合わせてボードも育つ

村上: プロジェクト毎にポータル的なボードを作成するのですが、プロジェクトの進め方やメンバーに合わせて、情報構造をアレンジできるところが好きですね。決まった型ありきではなく、どうすれば円滑にコミュニケーションが進むのか、情報を記録・取得しやすいか、日々改善していくことができます。メンバーと話しあったり、どうレポートするのが良いか試しているうちに、そのチームに寄り添った定型が出来上がっていきます。

例えば、アジャイルを実践していたこのプロジェクトでは、週次のプランニングやデモ、ふり返りといったスプリントの活動内容を時系列で左から右に並べています。

アジャイルでのプロジェクトの例

定期的な活動の見える化により、チームが仕事にリズムを感じやすく、ボードの改善により、チームのパフォーマンスも上がります。同じボードに毎日集まることでチームの協業とコミュニケーションも促され、アジャイルとの相性がとても良いと感じています。

以下は、ウォーターフォール型のプロジェクトの例です。上部にマイルストーンを掲示して、その下に週毎の活動を記録しています。自分たちが今どういうステージにいるか常に意識できるよう配慮したのと、活動記録はそのままコピペして、週次レポートにできるようにしていました。

ウォーターフォール型のプロジェクトの例

「俯瞰」から、記憶を呼び起こす

村上: もうひとつは、プロジェクトの活動を俯瞰できるところです。Microsoft Teamsのフォルダに週報を置くような運用はよくあると思うのですが、パッと見で活動状況や情報を思い出すのは難しそうですよね。

一方、Miroで情報を俯瞰すると、配置や形・色といったイメージから感覚的に記憶を呼び起こし、記録を見つけることができます。※Miroはボード内コンテンツのテキスト検索も可能。

メンバーも同じように俯瞰しながら作業するので、一緒に見ながら話す量も自然と増えます。情報ギャップ、コミュニケーションギャップを埋めることができるので、言った・言わないが起きにくいと実感しています。Miroは最初が白紙の状態なので、ボードと共にチームが育っていくように感じられます。時々ボードを俯瞰してみて、この時は大変だったな、とか思い返してみたり、チームの定型が出来上がっていく様を眺めて嬉しくなったりしています。

また、「アイディア発想」のような、大人数で一緒にゼロから何かを考えるようなワークショップの際も、白紙の状態から自由に発散し、全体を俯瞰して、遠くにあるアイディアとアイディアが結びついて思いも寄らないアイディアが生まれることがあります。

アイディア発想ワークの例


宮本武蔵の「五輪書」にある「観・見」二つの目が自由に切り替えられるようなイメージで、創造性の助けになっていると思います。

Miroに情報が集約されているので、レポート作成に時間がかからない

― ドキュメンテーションはどうされていますか。

村上:仕様書等の正式なドキュメントは別として、開発の中間資料は基本的にMiroにあります。先述のアジャイルの事例では、事業部長への報告もMiroのプレゼン機能を活用して行いました。チームの普段の作業の延長線上でレポートまで完結でき、効率が良かったです。

関連記事:Miroでプレゼンテーションを行う方法

他のプロジェクトでも、Miroのエクスポート機能を活用し、そのままパワポに貼り付けたりすることが多いです。Miro上にある普段の仕事の記録がプロジェクトの内容や進捗を把握し出力するのに最適なので、そのままレポートすることができるようにしておくことで、レポート作成にかかる時間を削減できます。

レビューのフィードバック・ループが可視化される

― 松田さんは、どんな風にMiroを使われていますか。

松田: 画面のデザインであれば、レイアウトパターンを何通りも広げて検討を行います。また、デザインが出来、実装が進むときにはフィードバックや修正が必要です。UIデザインの場合には、例えば実装後の画面を操作しながら画面をキャプチャしてアドバイスをしたり、といったことをするのですが、Miroで進めると、修正の前後の記録が残っているので、楽に過程を見返すことができています。

松田: また、デザインセンターでは、リモートワークが浸透する中で、業務だけでなくグループ内外のコミュニケーションの場としても活用されています。ステッカーやテンプレートなど機能が豊富で、メンバーの個性を発揮しやすいツールだと思っています。Miroは、個々のデザイナーが持っている「遊び」も可視化して、情報を分かち合える場所でもあるかもしれません。

※デザインセンター様の活用の様子は、事例インタビュー「ニコンのチームビルディングはなぜうまくいっているのか?デザインセンターでのMiro活用法とは」をご覧ください。

原点は、ある「栄冠と苦い経験」

― お二人は上手に工程のデジタル化に成功したと思いますが、Miro導入やDXありきでスタートしたのではありませんよね。アジャイル開発や人間中心設計に着目し始めたきっかけがあったのですか?

村上: 7年ほど前にグッドデザイン賞をいただいたアプリがありました。従来のアプリで難しかった操作を、スマホの様に直感的な操作で使えるようにするため、システムもUIもデザインに拘りました。メンバーもタレント揃いでとても恵まれていました。 

ところが、そんな優秀なメンバーと長い期間かけ、グッドデザイン賞もいただいたアプリが、市場では期待したほどには受け入れられなかったんです。要因は様々あるのですが、ユーザーのことを知らなすぎたことが大きな要因でした。

その苦い経験から、お客様を理解しデザインに落とし込むための手法や、そのデザインを適切にお客様に届けるための手法を研究しました。その結果辿り着いたのが、人間中心設計(UXデザイン)やアジャイルです。チームの力を最大化し、お客様により良い価値をなるべく早く届けることが目的であり、デジタル化や、アジャイルといった手法も手段でしかありません。

優れた手法にチームを巻き込むことができる

― 人間中心設計を学ばれたお二人が、開発とデザインでタッグを組む良さはありますか?

村上: そもそもUXでもアジャイルでも、ビジネスやテクノロジー、デザインのメンバーが一緒に働くことが求められています。開発者が考えたものをそのまま世に出すのではなく、デザイナーと一緒に評価を繰り返すプロセスは必須だと思います。その点でも、デザインと開発の両方を受容してくれるMiroの存在は重要です。

松田: 一緒に同じツールを使うことで、誰かを疎外することなく、違う専門性を持ったチームが同じプロセスに参加し、自然と優れた手法を実践することができると考えています。

実践を広めていくには

ー人間中心設計やアジャイルがいくら良い手法であっても、まだ実践していない人に良さを伝えたり、既存の進め方を変えてもらうには、抵抗や難しさがあるのではないでしょうか?

村上: まず、人間中心設計やアジャイルの価値を正しく理解し伝えられるよう研究し、自分なりに資料を作り、ステークホルダーへの説明に務めました。当時の事業部長に後押しいただき、経営層への説明の場を設けていただけたのが大きかったです。

そうした後押しを得て、小さなプロジェクトで実践しながら、ニコンの製品開発プロセスの中でどうアレンジすれば良いのか試行錯誤しました。そこで本やセミナーで得た知識だけでは現場では通用しない、「経験知」が足りていないことを痛感しました。

けれど実践を積み重ねることで人間中心設計専門家としての資格を得ることができ、今では人事部も研修講師として招いてくださるようになりました。そうした場で、少しずつチャレンジする人が増えていることを実感できています。

アジャイルには「書類を書かない」といった誤解や「何をやっているのか分からない」といったマネージメント層からの不安があると思います。そうした方にはMiroの活動記録をお見せすることで「ちゃんとやってるよ」と自信をもって説明ができます。

チーム内でちゃんとやっていることを示すだけでなく、MiroのPDF出力機能で簡単にレポートを作成することもできます。普段の作業をそのまま出せるように心がけて定型を整えていますので、手間はかかりません。どんな職場でも生産性が上がることを実感できるツールだと思います。

最初は従来のツールからの乗り換えに難色を示す人もいますが、触ってみるとすぐ気に入られることが多いです。ただ、それでも使い慣れたツールが手放せない人もいます。そうした場合は、その人や周りのメンバーと相談し、チームにとってどうするのが良いのか探ります。

アジャイルもそうですが、それが目的になっては本末転倒です。自分のやり方・手段を押し付けず、相手に寄り添い潤滑油になることを心掛けています。

― 今後、Miroに期待するところがあれば教えてください。

松田: Miroは、考えていることを表現するには欠かせませんし、Miro無しでディスカションすることは考えられません。デザイン業務にまつわることだと、他のデザインツールと切り替えずに済む、あるいは、思考を探索するツールとして発展するのも面白そうだと感じます。

村上: 長く使っているので進化する姿を見ていますが、ユーザーに寄り添ってくれていると感じています。これからの進化も楽しみにしています。

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