日本初のMiro Experts、mctが「プレイフル」を大事にするのは、人が本気になれるから
公開日 2023年10月24日 最終更新日 2023年11月6日
UIUXという言葉も浸透し、洗練されたユーザーエクスペリエンスがビジネスの成功につながるという認識が当たり前になってきました。より良い顧客体験を実現するために、デザイン思考に基づいたアプローチをしているのが株式会社mctです。
日本で初めて“miro experts”に認定された会社でもあります。mctのエクスペリエンスデザイナーのみなさんは、どのようにMiroを活用しているのでしょうか。米本明弘さん、渡邉みちるさん、村上瞳さんにお話を聞きました。
ビジネスの変革や成長を支援するデザインコンサルティングファーム
― あんなにワクワクするテンプレートはどうやって生み出すんだろうと、ずっとお話を伺ってみたかったです。改めまして、mctの事業について教えてください。
米本: mctは、クライアント企業と伴走しながら事業開発や製品開発、サービス開発を支援するデザインコンサルティングファームです。ユーザーの隠れたニーズやインサイトを元に、顧客体験全体をデザインしていくアプローチを得意としています。
村上: お客さまの業種業態は自動車、化粧品、家電、消費財、金融、ITなどさまざまです。mctでは製品やサービスに落とし込むためのユーザーリサーチやコンセプト設計や検証、プロトタイピングなどを通じてビジネス成長や組織変革のご支援を行っています。
― どのようなきっかけでMiroを使い始めたのでしょうか。
渡邉: mctでは元々ABW(Activity Based Working)を導入していてリモートワークができる環境ではあったのですが、2020年春のコロナ禍の影響で働き方が一気に変わりました。それまでは基本的に出社をしたりお客さま先に直接訪問をすることが多かったのですが、ほとんど出社することがなくなりました。フルリモート環境に変わった中で、一部のメンバーがトライアル的にMiroを使ってみる機会があって、「これはすごく使えるのではないかな」と導入が決まりました。今ではプロジェクトボードとしてほぼ毎日使っていますし、社内外のイベントやプレゼンテーション、チームビルディングなど多方面で活用しています。
― 社内で使われているボードはどんな感じなんですか?
渡邉: 例えばこちらは、mctのカルチャーコードをみんなで考えるプロジェクトのボードです。過去、現在、未来というフレームで、定期的に一緒に考える時間を設けて、何ヶ月もかけて進めました。
― 楽しそうです。みなさんで使いこなしてくださっているんですね。
はじめはMiroに好意的ではなかった
米本: 実は私は、Miroを最初は「現実のポストイットの劣化版」みたいな印象で捉えていました(笑)。リアルに会えなくなったので代替で仕方なく使う、と。
― Miroを支持してくださっている今の米本さんからは想像できません(笑)。Miroの認識が変わったきっかけがあったんですか?
米本: ターニングポイントになったのは「大陸のテンプレート」を作ったことでした。
米本: あることがきっかけで、Miroの面白さはズームアウトしてボードの全景を見たり、ズームインして細かい場所で作業できたりと、ボード内をダイナミックに動けるところじゃないかと気づいたんです。そのインスピレーションを渡邉さんに話して、デザインしてもらったのが「大陸のテンプレート」です。この「大陸のテンプレート」ができたことで、Miroは単にポストイットやホワイトボードをデジタル化したものではなく、Miroでしかできない体験があることにますます可能性を感じるようになりました。
― 「登山のテンプレート」は、どうやって出来たんですか?以前「登山のテンプレート」を利用してミッション・ビジョン・バリューについてのワークショップを行ったことがあるのですが、参加者に絶賛していただけて自分のファシリテーション能力を数倍にしてもらえたと感じました。
米本: 「登山のテンプレート」も同じく渡邉さんに相談してデザインしてもらいました。
米本: プロジェクトにしても研修にしても、目指すべきゴールがあってそこへ向かって工程を進めていくという流れは登山ととてもよく似たプロセスだと思うんです。ミッション・ビジョン・バリューを定義するワークショップなんかもまさにそうだと思います。そういう意味では「登山のテンプレート」はあらゆる場面で使い勝手のいい便利なテンプレートですね。
― テンプレートを制作する体験はいかがでしたか?
渡邉: 対面のワークショップ設計とはまた違ったおもしろさがあって、新しい世界を創っていけるような感覚がありました。どうやったら参加者のみなさんがワクワクしながら使ってもらえるかと考えていくのがすごく楽しかったです。
― 対面のワークショップを設計するのと違う点はありますか?
渡邉: ワークショップ内での接点が画面だけになるので、その中でどう楽しくできるかという工夫は対面ワークショップ設計のときとはまた少し違うのかなと思いますね。参加者の方がmiroに入ってきた瞬間にポジティブな気持ちになれるのか、仕掛けが多すぎて「面倒くさそう」「大変そう」とならないか、「楽しいけど、ちゃんとゴールに向かって進めている」という感覚になれるかどうか、など。
― 「楽しいけどゴールに向かっている感覚」、演出しやすかったです。アイスブレイクで1分間、キャンプ設営場所や浜辺に好きな絵文字やパーツを置いてもらったのですが、みなさんジオラマ気分で楽しんでくださって、スムーズに頂上(ゴール)の確認に移ることができました。
― プロジェクトでは、Miroはどんな風に使われているんですか?
米本: プロジェクトが始まるときから最後まで使いますね。キックオフ、チームビルディング、初期の仮説構築、リサーチの記録や分析、アイデアづくり、プロトタイプ作成…など何でも「ちょっとMiroでいったん作ってみようか」といった感じです。
複数のツールを行ったり来たりすると「どれをどこに置いたっけ」となったりして、つまづきながらプロジェクトを歩く感じになってしまいますが、ひとつのボードに全記録がまとまっているとそのフリクションを無くせますし、何よりMiroだと作業をしている様子が見えて、一緒にやっている感覚が沸きます。チームの一体感が感じられるんですよね。
ファシリテーションの「仕掛け」を予め仕込んでおける
― Miro以前と以後で変わったのは、どんなところですか?
渡邉: リモートメインでプロジェクトを進めるようになって、対面でのファシリテーションで行っていたことがやりにくくなる場面も増えてきました。例えば雰囲気を見ながらその場で声をかけたり、身振り手振りを使いながら説明したり、といったことですね。ですが、Miroではボードの色んなところに仕掛けを予め仕込んでおくことができます。「ちょっと考えてほしいこと」だったり「対話を促したいこと」などですね。対面のときとはまた違ったこういった工夫によって、自分のファシリテーションスキルを拡張しているような感覚で使えています。
クイックなコミュニケーションでプロジェクトを前進させやすくなった
渡邉: 特に嬉しいのは、クライアントさんとクイックにやりとりしやすくなったことです。Miro以前は、「のちほどまとめてメールでお送りします。」という風に、早く完璧なクオリティで資料をFixさせないと、という言外の気負いがありました。ですがクライアントさんとMiroを共有していると、自然と「いったんここまで叩きで作ってみたのでご確認いただけませんか。」とチェックしていただいて、「このほうがいいんじゃないか。」とコメントをいただいたりして、早めの軌道修正ができるようになりました。
Miroが自由で柔軟な表現を助けてくれる
― 村上さんはいかがですか?
村上: 画像を入れたり、みなさんが話している内容の要点をまとめたり、「こことここが繋がっている」という関係性を線で縦横無尽につなげたりなど、自由にできるところがすごく気に入っています。
村上: 例えば仕事で情報を整理するのにWordやExcelなどのオフィスソフトを使うことがあると思います。だけどmctの仕事では、不確実な状況で複雑かつ多様な情報を扱うことも多く、オフィスソフトの行列や縦横の「型に収めなきゃ」という意識が働くと何かが抜け落ちてしまう気がするんです。オフィスソフトで情報を整理しようとするために大事な要点が伝わらないとか、情報の欠落があるといったことが実はけっこうあるのではないかと思っています。その点、フォーマットに縛られることのないMiroでは物事の実態が忠実に表現できる気がします。
――議事録なども「箇条書き」という「型」に押し込めがちです。どきっとする視点ですね。
お客さまの体験を考えながら設計する
― お客様とのワークショップで気をつけていらっしゃる点はありますか?
村上: クライアントさんや状況に合わせてワークショップをデザインすることを心がけています。例えば、普段のお仕事でアイデア発想をあまりされていないとしたら、一歩飛び出して「ここは普段と違う場だから、自由に発想していい」と壁を壊して背中を押してあげる仕掛けを作るとか。クライアントのメンバーがこのプロジェクトに関わること自体が楽しい気分になれるだろうか、といったことを考えながら設計するようにしています。伝わっているかは、分からないのですが。
また、「動き」の設計も考えます。例えば普段からExcelを使われることが多いと、「自由自在に」というのが心の負担で、縦横の動きが統一されているほうが緊張せずに済んで心地よいかもしれません。そういったときには、あまり視線を動かさず、Miroボード上で決まった縦か横の一方向への移動だけで済むようにして、つまづきなく中身のワークに集中できるように、といったことを考えています。一定の制約があった方が安心して心地よく作業できる場面もあると思うんです。
― そこまで考えてデザインされるんですね。
mctが「プレイフル」を大事にするのは、パフォーマンスがあがるから
米本: 「楽しむ」ことは悪とされてしまうことがありますよね。「ふざけちゃダメだよ、真面目にやりなさい」みたいな。でも「楽しい」を追求することで人は夢中になって本気になっていくので実は楽しむことが最もパフォーマンスが上がるんです。
だからmctでは「プレイフル」という価値観を大事にしているのですが、その点でMiroとは相性がいいと思っています。Miro上で動き回って作業をすることはどこかゲームの体験のような感覚があり、BGMやスタンプなどのギミックにも遊び心がありますよね。
また、遊ぶことや楽しむことへハードルが低いのもMiroの良さだと思います。綺麗な作品をつくる必要はなくて「とりあえず作ってみよう」「やってみよう」という気持ちにさせてくれます。砂場に子供たちが集まって遊ぶように、Miroを使うことでメンバー全員が一緒に手を動かしながらプロジェクトに没頭できるようになりました。途中の生成物や経過をみんなで共有できるのもすごくいいところだと思います。
― お客様からいただいた嬉しいフィードバックはありますか?
村上: 普段は失敗が許されない厳しさに晒されているクライアントさんに、ぎりぎりの「プレイフル」を演出しようとチャンレンジしたプロジェクトがありました。終わったあとに「すごく楽しかった。自社ではやれなかったことが出来たし、成果として持ち帰ることができる。」とおっしゃっていただけたのは、とても嬉しかったです。
自分の話術ではカバーしきれないことをMiroなら実現できますし、Miroを通じて「その人のことを考えて準備した」ということが感じていただけかもしれないと思うと、mctの価値が伝わった気持ちになりました。
米本: 私たちは組織開発もご支援するのですが、クライアントの組織が抱えている組織課題が少しでも解消されるというか、我々が関わることによって組織内の人間関係が変わったり、マインドセットが変わる瞬間に立ち会えると、とてもやりがいを感じます。
渡邉: 新しい発見があった、モヤモヤがクリアになった、新しい視点がもらえた、というフィードバックはやっぱり嬉しいですね。
― リアルなワークショップの流れも戻ってきていると思いますが、対面とオンラインの使い分けは、どう考えていらっしゃいますか?
米本: これからは「リアルだけ」あるいは「オンラインだけ」といったいずれかオンリーの仕事は無くなり、多くの仕事がハイブリッドになっていくと思います。そうしたときにリアルであれオンラインであれ、Miroを使うことがハイブリッドワークをより快適なものにしてくれます。Miroがリアルとオンラインの仕事をシームレスに繋ぐ存在になるということです。そう考えるとMiroの存在感や必要性はますます上がっていくと思いますよ。
渡邉: オンラインでしか出来ないとか、対面で会わないと駄目、ということではなく、うまくオンラインと対面を組み合わせることによってコラボレーションをしていくことが大事かなと思っています。今は実際に対面でのイベントやワークショップの機会も増えてきていますが、対面ワークであってもMiroを使った方が良い、ということも多いです。
米本: いずれにしてもリアルで働くスタイルはこれまで何百年も続いてきたわけですけど、オンラインで働くスタイルはまだたったの数年ですよね。オンラインワークには私たちがまだ気づいていないポテンシャルがたくさんあるはずです。だからきっとオンラインの働き方は今後どんどん新しいスタイルが発明されるでしょうし、進化していくと思います。多くの企業が模索しているハイブリッドワークも、オンラインワークの進化を中心として確立していくことになるんじゃないかと思っています。
Miroのようなツールはそういった新しい働き方への変革に必要不可欠だと思いますし、世の中のワークスタイルの変化とともにMiroというプロダクト自身もさらに新たなステージへと進化してきそうな気がします。楽しみにしています。
プレイフルなら、本気になれる
過去のmct様ご登壇ウェビナーをYoutubeでご視聴いただけます
Miroは、世界で7,000万人が利用し、23万以上の企業が採用しているイノベーションワークスペースです。組織が生産的に業務を進めるための多くの機能とエンタープライズ水準のセキュリティを備え、日本では120万人以上に幅広くご利用いただき、TOPIX100の60%以上の企業に採用されています。試験的に導入してみたい、説明を聞いてみたいなどのご要望がありましたら、お気軽にお問合せください。