お客様事例インタビュー

ニコンのチームビルディングはなぜうまくいっているのか?デザインセンターでのMiro活用法とは

公開日 2023年11月29日 最終更新日 2023年12月14日

ニコンのチームビルディングはなぜうまくいっているのか?デザインセンターでのMiro活用法とは

カメラに代表される光学機器製品等で世界的な知名度を誇る株式会社ニコン。卓越したデザインは、デザイン組織である「デザインセンター」から生まれます。そのデザインセンターではMiroを活用したチームビルディング活動や日々の業務が行われているそうです。株式会社ニコンのデザインセンターIDグループの山田ひかりさん、望月みちるさん、UI&インタラクションデザイングループの廣部萌さんに聞きました。

ニコンのデザインが生まれる場所

― 所属する事業部の概要とみなさまの役割を教えてください。

山田: 私はデザインセンターのIDグループに所属しています。IDとはインダストリアルデザインの頭文字で幅広い製品の外観のデザインが行われていますが、私は主にレンズやBtoB製品の外観デザインを手掛けてきました。

山田ひかりさん

望月: 私も山田さんと同じくIDグループの所属で、レンズや双眼鏡等の製品を担当しています。

望月みちるさん

廣部: 私はUI&インタラクションデザイングループに所属していて、ソフトウェアの操作画面のデザインを中心に担当しています。工場内で利用する制御用ソフトウェアや顕微鏡の液晶に表示される画面のデザインなどが含まれます。

廣部萌さん

山田: デザインセンターは外観デザインやGUIデザインからスタートした組織で、のちにコーポレートブランディングやコミュニケーションデザインを手掛ける部署も集約されて現在の形になりました。私達3人が所属するグループ以外にコミュニケーションデザイングループ、エクスペリエンスデザイングループ、コーポレートブランディンググループがあり、総勢80名ほどが在籍しています。

日々のデザイン業務でもMiroが活躍

― どのようなきっかけでMiroを使い始めたのでしょうか?

山田: 2019年頃に在宅リモートワークの環境を整えるプロジェクトが始まり、その際に検討されました。他部署でも使っていましたし「デザインセンター」でも導入すべきではという議論になり、コロナ禍での在宅勤務がメインになったことでより本格的に使い始めるようになりました。

― IDグループではどのように使っているのでしょうか?

山田: デザインスケッチのレビューや、検討に必要な情報をまとめるのにつかっています。外観デザインのイメージをMiro上に貼り付け、チームメンバーにペンツールで赤字を入れてもらいながら、ブラッシュアップしていきます。情報をまとめて置けるのでコミュニケーションしながら、アイディアを出し合うことや、アイディアやデザインを集約してくことに活用しています。

― Miro以前との違いはどんなところですか?

山田: 以前はテーブルに広げてその作業をしたりしていました。製品デザインでは、見た目の美しさだけでなく、デザインが利用シーンで意図どおりに作用するかなどユーザビリティの検証を繰り返してブラッシュアップしていくのですが、その検討過程がMiroに残るようになりました。また、Miroだと同じ画面上で誰かが作業しているときに「あ、ここで悩んでいるな」というのも分かります。

望月: Miroには大人数で集まることもできますし、他製品プロジェクトのMiroボードを見に行くこともできるので、Miroを使っていなかった学生時代よりもオープンに感じられます。

― UI&インタラクションデザイングループではいかがですか?

廣部: 私は工場で使われるソフトウェアの設定画面をデザインする業務で使っています。ダッシュボードのUIはどのような収まりにするべきか、メニューのカテゴライズやよく使う機能をどう使いやすく配置するかなどを、ソフトウェア開発者と話し合いながら最終画面仕様まで進めていきます。Miro上のワイヤーフレームを見ながら進めるとお互いの仕様理解が進みやすく、時短になっています。

ボトムアップで部署の交流に活用

― 業務のほかにもMiroを使っていただいているそうですね。

山田: デザインセンターには、グループ横断で若手が中心に運営する「クリエイティブスキルアップチーム」という活動体があります 。問題意識や日頃の想いを原点として、デザインセンターの若い世代が中心となって、デザイナーのクリエイティビティやスキルを向上するために、より快適に働くための空間やコミュニケーションの新しいあり方の検討など、様々な取り組みをしています。

また、年1~2回程度は外部講師をゲストにお呼びして、新たな学びを取り入れる機会を作ったり、VRやAIなど新しい技術に触れる体験会などを実施しています。カメラメーカーならではだと、カメラ機材を使った撮影会を企画したりということもありますね。

― 他にはどんな活動をされているんですか?

山田: クリエイティブスキルアップチームでは自分たちで課題設定してプロジェクト化していきますが、コロナ禍や部署の規模拡大で「コミュニケーション不足」に課題を感じるようになりました。そこでスキルアップチームが主体となって、デザインセンター全体で交流できるような活動も行っています。

デザインセンターでは、全員で集まる定例会議があります。議題が早く終わりそうな回では、せっかく全員が集まる機会なので、すぐに解散せず、デザインセンター全員で交流できる企画ができないかと検討しました。様々な業務を行うメンバーが集まっている組織で、全員で扱えてリアルタイムで作業できるツールはあるかと検討したところそれがMiroでした。

― 具体的にどんなことをしているのですか?

山田: 例えば、Microsoft Teamsのプロフィールアイコンを描き合ってプレゼントする企画を実施しました。当時、Microsoft Teamsのプロフィールアイコンは全員が設定しているわけではなかったので、特に新しく入ったメンバーの方が、名前と顔を一致させるのは難しいと言っているのを耳にしました。顔写真をアイコンにしてくださいと呼びかけるのではなく、顔を見るきっかけとメンバーで交流する機会をつくりたいと考え、プロフィールアイコン作りを企画しました。

絵を描くことが得意でないメンバーもできるアイコン作りということでアイディアを探したところ、Miroのテンプレートでパーツをコピーして福笑い的にキャラクターを作れるものがありましたので少し手を加え活用させてもらいました。

― 手書き感がなんともおしゃれです。様々な立場の人に配慮されたいい企画ですね。

望月: 新年のタイミングではデジタル書き初めという企画を出し、「書き直し禁止」という縛りをいれることで、リアルな書き初めのようなドキドキ感を演出しました。

― 半紙になっているんですね。結果、みなさんがうまく脱力しているのがなんとも素敵です。

廣部: 他には、今欲しいものやお勧めの◯◯といったテーマに書き込んだりします。

廣部: また、「どっち派?!」という、例えば「パンとごはん」、「北海道と沖縄」などに自分の名前を書いた付箋をプロットする形式もあります。「どっち派?!」については、グループごとに付箋の色を変えてもらっているので、グループ別の傾向も観察できるようになっているんですよ。大人数でもあっという間にたくさんの付箋で埋まっていきます。

望月: 他には、異動でデザインセンターから離れるメンバーへの寄せ書きもMiroで行っています。その方の経歴やエピソードを時系列で書き出して、メンバーが質問や思い出を振り返る付箋を書いていきます。寄せ書きはそれぞれが孤独にクローズドで書きっぱなしになってしまいがちですが、Miroを使うと会話しているようなグルーヴ感が出ます。

― なるほど、ご本人が黄色い付箋で回答してくださっているんですね。

望月: 新しく来られた方がいる回には誰でも自由に質問できるコーナーも設けています。

― こちらもいい仕組みですね。これなら初対面でも会話のきっかけがつかめそうです。

山田: もう少し業務寄りのものでは、スキルアップチームの活動についてのアンケート調査もMiroで行っています。視覚的に全体感を把握しやすくするために、ここでもグループ毎に色分けし、リッカート尺度を用いています。わざわざ時間をかけてメールやアンケートフォームで作るよりも、定例の時間を使って全員にパッと回答してもらうほうが数も集まり、効率的です。

廣部: 外部講師をお招きする企画でも、定例の時間を利用してどんな人から何を学びたいか付箋で意見を集めると素早く済みますし、あとで企画をまとめるときにもグルーピングして整理ができるので楽です。

廣部: 講演当日にも活用していて、外部講師の方への質問を事前にMiroで募っておき、当日はそれを参考にしながらQ&Aを行っています。

温かい雰囲気を作り出す秘訣とは

― ボトムアップで組織のいい雰囲気を作り出せる秘訣があるのでしょうか?

山田: もともと若手をどのように育てるか、ということに関して意識がある会社なのだと思います。クリエイティブスキルアップチームも、先輩の代の「思い」が次の代に送られてきたものなんです。

参考:2018年頃のクリエイティブスキルアップチームの活動の様子(ニコン公式ページ)

― 確かに、以前に光学本部様にインタビューさせていただいたときも、いかにチームで仕事を進めるかをとても大事にされていました。

望月: 私自身の経験でも、就職活動をしたときに自分のポートフォリオを様々な会社の方に見ていただいたなかで「もっとこうしたらいいよ。」という一番親身なアドバイスをくれたのがニコンで、どの社員に会ってもすごく丁寧に対応してくれました。

― ニコンの企業文化なのかもしれませんね。特にデザインセンター様のMiroからは、自分なりの創造性を自由に発揮できる空気が感じられました。最後に、今後Miroに期待されることを教えてください。

山田: Miroのテンプレートや絵文字が充実すると、より社内のコミュニケーションも円滑になっていくと思います。また、日本語フォントが使えるとプレゼン資料などに活用できるなど、もっと活用幅が広がりますね。これからのアップデートを楽しみにしています。

― ありがとうございました。

 

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