お客様事例インタビュー

まるで「息をするように」Miroを。プロのファシリテーターはMiroをどう使う?

公開日 2023年9月19日 最終更新日 2023年9月22日

まるで「息をするように」Miroを。プロのファシリテーターはMiroをどう使う?

グローバルに活動するコンサルティングファーム、ケンブリッジ・テクノロジー・パートナーズ株式会社(以下、ケンブリッジ)。お客様の変革プロジェクトをEnd to Endで支援するだけでなく、支援後にお客様が自分たちだけでさらなる変革を推進していけるよう自社のノウハウをすべて公開する異質のコンサルティングファームです。

社員全員がMiroをまるで「息をするように」使い始めて、あっという間に仕事道具にしてしまったそうですが、その秘訣は「ケンブリッジのコンサルタントはプロのファシリテーターである」というところにありそうです。

ケンブリッジでMiroの導入を担当した有村晃一さん、現場でMiroを活用している小高祥子さんと安武紘一さんにお話を聞きました。

ケンブリッジ流のファシリテーションとは?

― ケンブリッジでは「ファシリテーション」をどう定義されているのでしょうか。

有村: 一般的に「ファシリテーション」というと会議のファシリテーション技術をイメージされる方が多いですが、ケンブリッジの「ファシリテーション」はもっと広義で、「ゴールを達成するために、人の能力を最大限に引き出す」ことを指します。あえて「プロジェクトファシリテーション」と言う場合もあります。会議は、プロジェクトのゴール達成に向けてファシリテーションが必要なあらゆる活動のなかの、あくまで一要素なんです。

有村晃一さん

― コンサルティングというと、クールなコンサルタントが成果物を納品して終わり、依頼者は時として置いてけぼり、という話をよく聞きます。ケンブリッジのファシリテーションはそれとどう違うのでしょうか。

有村: ドキュメント納品がゴールになることもありますが、お客様の望むゴールが「状態」である場合もあります。例えば「1年後にシステム導入をやりきる」「半年で業務改革を現場に浸透させる」といったゴールはドキュメント納品だけでは達成できません。多数のステークホルダーが関わる大きな変化を成し遂げるためには、私たちのような外部の人間が「こうすべき」と資料を渡すだけではどうにもならないのです。

大事なのは、お客様が自分たちの意志でゴールを決め、プロジェクトの立上げから成功まで走り切ることです。しかしこうした意志を言語化し関係者に伝播しプロジェクトを推進するのはとても難しいのです。ケンブリッジのファシリテーションはこうした困難を乗り越えてゴールを達成するための技術なんです。

ですからケンブリッジが支援するプロジェクトは、一般に言われるコンサルティングのクールなイメージからほど遠く(笑)、どちらかというと「お客様もコンサルタントも境なく、全員で本音の議論を重ねてプロジェクトを成功させるぞ」という泥臭いところがあります。

遊び心に溢れた居心地のよいオフィス。オープンスペースには行動規範である Have Fun!が。

しかしそういった体験があるからこそ、お客様から「楽しかった!次もぜひケンブリッジとプロジェクトをやりたい」と言っていただけるんですよね。それを私たちは「Have Fun!」と呼んでいて、大切にしている行動規範でもあります。 もうひとつ、私たちの特徴としては、ケンブリッジのノウハウをお客様に惜しみなくお伝えしている、ということがあります。最終的には、次の変革をケンブリッジ抜きで推進し成功してもらうことが、私たちの存在意義でもあります。

― ノウハウを渡してしまうんですか。ご自身の存在意義を脅かしてしまいそうで怖くないですか?

有村: 怖くないですよ。そもそも変革プロジェクトはとても難しいものです。ですから私たちのノウハウをお客様にお伝えして、ケンブリッジメンバーと同じように振る舞っていただいて、初めてプロジェクトが成功するのだ、と思っています。

それに、お客様ご自身が私たちの技術を実戦で学び、次はご自身だけでプロジェクトを成功させるのであれば、それは素晴らしいことです。そこから「どうやって成功させたんですか?」「実はケンブリッジという会社がありまして」みたいな会話に発展して結果的にケンブリッジへの新たな問合せにつながる、といった展開もあります。

あらゆるプロジェクトがフリップチャートからMiroに

― みなさんが今どんなお仕事をされているか、教えていただけますか。

有村: 私は今、社内ITシステムの同定や導入プロジェクトを担当しています。

安武: 私は社内でナレッジマネジメントのプロジェクトを担当しています。コンサルタントが現場で得た知見やノウハウを形式知化して、組織的に引き出しやすくするための活動です。ケンブリッジは多種多様なプロジェクトを手掛けますので、誰が何を担当しても同じように価値を発揮するためにはノウハウの形式知化は必要不可欠なんです。

安武紘一さん

小高: 私はお客様のプロジェクトを担当しながら、ケンブリッジの新規事業の立上げも行っています。具体的には、ケンブリッジ抜きで変革を進められる人材を世の中に一人でも多く増やすために、ケンブリッジのノウハウを学べる学校を作るプロジェクトです(2023年7月に開校しました)。

小高祥子さん

― Miro活用前後のプロジェクトの進め方の変化について教えてください。

有村: コロナ禍以前は対面が基本でした。お客様とのプロジェクトであれば、お客様の社屋内にプロジェクトルームをお借りして、そこでお客様と議論し、その内容をフリップチャート(模造紙)に書き付けながら壁に貼っていくスタイルです。そうするとプロジェクトルームの壁はどんどんフリップチャートで埋まっていくので、新たなフリップチャートを貼るために、以前議論していたフリップチャートを撮影して剥がして、という作業を延々と繰り返すことになります。

Miroの導入によって、壁の限界を気にしなくて済むようになったのは大きな変化です。

フリップチャートの利用シーンをお話くださる有村さん

ケンブリッジのオフィスにある、壁一面がフリップチャートの空間

軸は、自分たちがお客様と使う道具としてふさわしいか

― まさにMiroをデジタル上のプロジェクトルームとして使っていただいているのですね。使い始めたきっかけはなんですか?

有村: 2020年のコロナ禍によってお客様先に常駐できなくなったので、代わりになるサービスを探していました。Miroを触ってみて「良さそう」となり、3日で採用を決めました。まずは逐一チケットを購入して個人にアカウントを渡すプランで始めました。

― 3日!早いですね。 決め手はなんでしたか?

有村: プロジェクトでお客様と一緒に使っていくことを考えると、Miroの持つUIの柔らかさはけっこう大事だと思ったのです。例えば、実際に付箋をペタペタと貼っていくのに近い手触り感を感じました。

― そこから、どのように全社へ展開していきましたか?

それからほどなく全社のオンラインミーティングでのアクティビティにMiroを取り入れたところ、全員すんなり使っていたので、すぐに全員分のライセンスを購入することにしました。お客様の秘情報を扱うので、セキュリティの堅牢なEnterpriseプラン一択でしたね。

― いきなり全社展開で、みなさん戸惑わなかったんですか。

有村: 全然戸惑わなかったんですよね。ケンブリッジのコンサルタントは、普段からフリップチャートや付箋に書きながら議論しますから、その「あたりまえの所作」が対面でなくてもデジタルで出来るようになってよかったね、というくらいでした。

― みなさん仕事道具の感覚が同じだったんですね。

有村: Miroというツールはこういう階層構造で共有範囲はこうだよ、という設定やセキュリティに関する説明資料は作りましたが、使い方マニュアルは不要でした。やることは普段と同じでしたから。

Miroで、すべてのプロジェクトに横糸を通す

― 安武さんのプロジェクトではMiroをどう使われていますか。

安武: 社内ナレッジマネジメントのプロジェクトは通称「おむすび」と呼ばれています。社内のナレッジとナレッジ、人と人を結びたい、という想いからそう名付けました。

情報守秘に関するお客様との契約を遵守しつつ、各プロジェクトで得た経験や知識を、どのプロジェクトにも通用するコアな方法論に昇華させるのが僕たちの仕事です。それをみんなで学び、自分のプロジェクトに持ち帰って実践し、そこで得た知識や経験でさらに方法論を強化・多様化させていく、というサイクルを回しています。

プロジェクトが縦糸だとすると、「おむすび」は「お客様に提供する価値はなにか」「ケンブリッジの仕事のコアとは何か」という問いを立てて、すべてのプロジェクトに横糸を通していくような役割を担っています。

左上にはプロジェクトのゴール、その下にCSF(Critical Success Factor 主要成功要因)、さらに具体化されたタスク一覧があります。これを見れば、「おむすび」のメンバーは何のために活動しているのか、今何をやっているのか、ぱっと分かります。目の前のタスクに追われると「何のために」を忘れがちですが、ゴールとタスクを近い場所に配置することですぐに気持ちを切り替えることができます。

― きれいに整理されたボードですね。タスクや議論内容だけでなく、「何が終わったか」も可視化されているのですね。

安武: プロジェクトには複数のメンバーが携わるので、Miroを見に行けばプロジェクトの全体像が分かる、この課題がいつ頃どう話し合われてどう解決されたか分かる、というのはとても大事だと思っています。その現場にいなかった人が後から見て分かるくらい可視化されていれば、プロジェクトを効率的に進められますし、新たなメンバーを迎え入れたときにも役立ちます。

― Miro以前はどうされていたんですか?

安武: テキスト、PowerPoint、Excel、フリップチャートなどあらゆるツールを使っていました。ファイルがどんどん増えていってしまうんですよね。ファイル名に日付をつけるなど工夫しても「あれ、この課題に関連するドキュメントってどれとどれだっけ?」ということはどうしても起こります。

その点から考えると、Miroは同じボードの中で矢印や枠を使って議論や成果物、タスクを際限なく繋げていけます。今後不要な情報やいったん脇に置くべき議論が発生しても✕をつけたり保留ラベルを貼ったりすれば同じ議論が再燃しても適切な判断ができます。こうしたことがケンブリッジのプロジェクトの進め方によく合っていると思うし、使っていて気持ちがいいです。

Miroは「どう登るのか?」を話し合うベースキャンプ

― ありがとうございます。小高さんはどんな風に使われているのか教えてください。

小高: 新規事業は前例のないことをしようとするものですから、決まった筋道やセオリーで進めるのが困難です。議論も手探りで進めることが多く、よくメンバー全員で付箋を使ってアイデアを出し合います。例えば、優先度の高い課題を洗い出してそれを眺めながら「これはどうすべきだろう?」と議論したり、ユーザーヒアリングでも一見共通点のない情報やアイデアを貼り出しながらその場で整理分類したりします。

Miroだと、こうしたアクティビティを一枚のボードの中で実現することができますし、「この課題とあの課題は同時に解決できそうだね」「こっちが決まらないとあっちが決まらないね」といったひらめきがあれば、即座に付箋や図形を並べ替えられます。これはPowerPointやExcelでは得られなかった体験で、わたしの好きなところです。

プロジェクトの全てがMiro上にあるので、「この話は、以前このあたりで考えたよね?」なんて展開になったときにも「あぁ、そうそう、こういう話だったよね」とボードを探るように参照しています。

登山に「ベースキャンプ」、前線基地という言葉があると思いますが、Miroはプロジェクトの「ベースキャンプ」になっていて、みんなで集まって準備をして装備を確かめて、「どう頂上まで到達するか?」を議論するような場所になっています。

プロジェクトルームに誰かがいる空気感まで再現できる

― 「ベースキャンプ」。いい表現ですね。Miroをベースキャンプとして使う良さをもう少し具体的に教えていただけますか?

小高: 仲間感とか空気感みたいなものを感じられるところが良いと思います。

 例えば、会議以外の時間にMiroボードを眺めていると、他のメンバーがスッと入ってきてその場で何かの準備を始めたりするのが見えたり、自分の作成した部分に誰かがいつの間にかコメントを残してくれたりします。こういうところに「いつも仲間と一緒にプロジェクトをやっている」という実感を持てます。

また、Miroはその場で参加者全員が同時に書き込みながら議論することができます。これってプロジェクトルームで誰かと対面で議論するのと同じような空気感なんです。同時編集がストレスなくできるって、些細なようでけっこう大きいと感じます。ZoomとPowerPointではそうはいきません。

真似したい、ベースキャンプ0.5の概念

― ありがとうございます。ところで、みなさんにはファシリテーション技術を上達させる秘訣はあるのでしょうか?

有村: 仕事に限らず、日常のさりげないシーンでもファシリテーションに触れる機会を持つことでしょうか。例えばケンブリッジのオフィスには、ちょっとした四象限マップが掲示されることがあります。

この前見つけたのは、「どんな飲み会が好みか」という四象限マップ。これは新卒の社員が考えてくれたもので、「ワイワイ飲みたい人/しっぽり飲みたい人」「たくさん飲める人/あまり飲めない人」というマップを壁に貼っておくと、通りかかった社員が自分の名前を書き込んでいきます。

そうすると、相手のタイプに合わせたお店を選べますし、まだ話したことがなくても同じ好みの人には親近感を覚えていつか会話のきっかけになるかもしれませんよね。こういった遊び感覚でも四象限マップを作ることでファシリテーション技術が上達していくと考えます。

壁面にはさりげなくファシリテーション技術を鍛える仕掛け
オフィスのいたるところに議論を可視化するための道具がある

― 強制されない緩さもすごくいいですね。

有村: 狙いはまさにそこなんです。小高がお話ししたような、プロジェクトのゴールに到達するための「ベースキャンプ」が1.0だとすると、ケンブリッジのオフィスは0.5くらいの緩さを狙って作ったんです。

― 壁にも「βaseCamp0.5」と書いてありますね。「この場のありかた」を名前に込めるのはいいですね。「チームビルディングで緩い関係性を構築して心理的安全性を高めよう」といった概念的な話を研修で社員に説いてもなかなか浸透しないケースもあります。このやり方、真似できるといいなと思いました。Miroでも「0.5」的な緩いアクティビティは行われているんでしょうか?

有村: はい、これがよい例かもしれません。これは、「1泊2日で社内旅行にいくならどこで何をしたいか」というお題で、社員全員がざっくりした手書きの白地図に各々のアイデアを付箋でペタペタ貼っていきました。

― とっても緩い地図ですね(笑)。 コンサルタントの作るものはもっとカッチリしたもの、という印象がありました。

有村: 冒頭の話に戻るのですが「ゴールを達成する」ことがケンブリッジのファシリテーションの本質です。別にカッチリしたものを作らなくても「社員がアイデアを出し切る」というゴールが達成できればいいんです。付箋の量からも社員がこのアクティビティを楽しんだことはよくわかります。これもまた「Have Fun!」なんですよね。

― 納得です。ありがとうございました。

Have Fun!

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