UML とは?知っておきたい情報をまるっと解説
解説するトピック
解説するトピック
UML図 の理解しやすい記号や機能を活用することで、複雑なシステムの全体像を簡単に可視化することができます。
UML 図とは?
UML 図は Unified Modeling Language(統一モデリング言語)を使用してシステムやソフトウェアを視覚化するための方法です。
ソフトウェアエンジニアは複雑なソフトウェアシステムの設計やアーキテクチャなどを理解するために UML 図を作成します。
また、UML 図はワークフローやビジネスプロセスのモデル化にも使用されます。
コーディングは多くの要素が相互に関連し合う複雑な作業となります。何千行ものプログラミング言語が存在し、一見しただけでは理解できないこともあります。
UML 図はこのような情報を簡略化して、より消化しやすい視覚的な情報へと変換することに役立ちます。
UML 図は重要なコード間の関係や階層を可視化することにも役立ちます。 この図は決定木やフローチャートに似ていますが、独自の機能を持っています。
コードのような複雑なものをわかりやすく表現することは、エンジニアや技術者ではない人が図を理解する際に非常に役立ちます。
UML 図を使用することにより進行中のプロジェクトを常に追跡することができ、ソフトウェア設計においての情報のサイロ化を防ぐことができます。
UML 図はソフトウェアを構築するために不可欠なコンポーネントとサブコンポーネントを分割するものでもあります。
UML 図のメリット
UML 図はソフトウェア開発チームにとって非常に役立つ図の 1 つです。ここではUML 図の使用がもたらすいくつかのメリットについてご紹介したいと思います。
複雑なアイデアやシステムの理解を容易にする
UML 図を使用することにより抽象的なアイデアやソフトウェアシステムを簡単に可視化することができます。そのため、この図はソフトウェア設計する際に共同作業が必要なソフトウェアエンジニアにとってとても便利なツールです。
また、UML 図はソフトウェアエンジニアリングチームが他のプロジェクトメンバーとコミュニケーションを取る際にも活躍します。
UML 図を使用することによりプログラミング言語に慣れていない人でも簡単にシステムの仕組みが理解できるようになります。
複雑なコードをビジュアルな図に変換
ソフトウェア構築には何千行もの複雑なコードが必要であり、その中には関係や階層が 存在することがよくあります。
これらのコードを理解することは非常に難しく、時間がかかる作業となります。
しかし、UML 図を使用することでコーディング環境を理解しやすい視覚的な図に変換することができます。
認識の共有に活躍
UML 図は異なるプログラミング言語や開発プロセスを可視化することに役立つ図です。
UML 図を使用することにより視覚的にシステム設計について情報共有をすることができます。つまり、この共通言語を使用することでソフトウェアエンジニアやプロジェクトチーム間の認識合わせをいつでも実行することが可能です。
もし、チームの誰かがシステムの仕組みに疑問を持った場合、この図をいつでも参照することができ、ソフトウェア開発プロセスにおける進捗状況やタスクの優先順位について、チームメンバーと議論することができます。
システムの全体像を把握できるようになる
ソフトウェア開発プロセスでは、何を作ろうとしているのかを理解し、記憶することが重要になります。プロジェクトの全体像の可視化なしでは、開発者は膨大なコードを書いているうちに最終的なイメージから脱線してしまうことがあります。
UML 図はシステムの全体図を可視化することに役立ち、システム設計においてのマップとしての役割を果たします。
プログラマーでない人がソフトウェアのプロセスや機能を理解するのに役立つ
コード内の機能やコードどうしの関係、プロセスはソフトウェアエンジニアのみが理解できるものです。しかし、ソフトウェアやシステム開発は同じ組織に属する他の部署のメンバーも関わるプロジェクトです。
通常、プログラミング背景のない製品担当や他のメンバーはソフトウェアの構築に使用されるプログラミング言語を解読できないことがよくあります。
このような場合に UML 図を通してコーディング環境を理解しやすい視覚的な図に変換することで、誰でもプロセスやシステムについて理解できるようになります。
共通の記法を使うことでプログラマーが情報を一目で理解できるようになる
すべてのプログラマーが、同じ種類のコードやプログラミング言語を理解し、専門としているわけではありません。
同じコードのライブラリーを開発するにも、何百通りもの方法があります。UML 図は異なるスキルや知識を持つプログラマーが使用できる共通言語としても活躍します。
UML 図の種類
UML図には「構造図」と「動作図」の 2 つのサブカテゴリーが存在します。
構造図:システムを構成するコンポーネントとそれらのコンポーネント間の関係を描きます。これらの図はシステムの静的な側面を示しています。
動作図:システム内で何が起こっているかを表します。すべてのコンポーネントが互いにまたは、他のシステムやユーザーとどのように相互作用するかを示しています。
構造図の種類
クラス図
UML クラス図はクラスやオブジェクト指向ソリューション基本的な構成要素です。 UML クラス図は、システム内のクラスと各クラスの機能を表現する際に使用されます。
パッケージ図
パッケージ図ではクラスを 1 つのパッケージにまとめます。パッケージ図はシステム内のパッケージ間のさまざまな依存関係や関係を示すことに使用されます。
オブジェクト図
オブジェクト図はソフトウェア内のオブジェクトの関係を示すという点でクラス図と似ています。
しかし、オブジェクト図では実際の例を使用する点が異なり、特定の瞬間にシステムがどのように見えるかを表示するため、インスタンス図とも呼ばれることがあります。
コンポーネント図
UML コンポーネント図を使用することで開発者はシステムの物理オブジェクトを包括的に理解することができます。
このタイプの UML 図では、複雑なソフトウェアシステムにおける各物理的コンポーネントとサブコンポーネントの構造的な関係を示しています。
このため、プロジェクト関係者でコンポーネントがどのように構成され配置されてかの情報を簡単に共有することができるようになります。
コンポジット構造図
コンポジット構造図はクラスの内部構造を可視化する際に用いられる UML 図です。
この図はクラスやインターフェースコンポーネントのネットワークを図解したものであり、これらの要素が互いにどのように作用し、なぜそれらが包括的なソフトウェア構造にとって不可欠であるのかを表現することに使用されます。
配置図
配置図とはシステム内のソフトウェアとハードウェアの関係を示すための UML 図です。
システムのノードの物理的な配置が描かれており、開発中のソフトウェアが複数の異なるハードウェアシステム上でどのように動作するかを可視化する必要がある場合に役立つ図です。
動作図の種類
アクティビティ図
UMLアクティビティ図では、大規模なプロセスをより小さなアクティビティに分解しています。この図は、システム内の 1 つのコンポーネントに焦点を当てており、システムの動的側面の情報を視覚的に表現することができます。
シーケンス図
UML シーケンス図はシステムの中でさまざまなオブジェクトがどのように関係し、相互作用しているかを示すものです。このツールは、開発者がこれらの相互作用がどのように、なぜ、どのような順序で起こるかを理解するのに役立ちます。
コミュニケーション図
UML コミュニケーション図はコラボレーション図とも呼ばれます。この図は異なるオブジェクト間でやり取りされるメッセージに注目する点で、シーケンス図と比較的似ている図です。
シーケンス図が時間の経過に伴う処理動作を観察することに使用されることに対し、コミュニケーション図は製品の完全な全体像を把握するために使用されます。
相互作用概要図
アクティビティ図と同様に相互作用概要図もアクティビティの流れとそれらのアクティビティの順序を視覚的に表現します。
相互作用概要図の各アクティビティは、フレームとして表示される点でアクティビティ図と異なった図となっています。
相互作用概要図のノードは、システム内の相互作用を表しています。
タイミング図
タイミング図は明示的な時間枠の中での特定のオブジェクトの挙動を表現する際に使用される図です。
通常、タイミング図は非常にシンプルな構造を持ちますが、複数のオブジェクトを扱う場合は、その時間枠内の多くの異なる重要なシーケンス間の相互作用を表現することがあります。
ユースケース図
ユースケース図はソフトウェアシステムに関わるアクターの概要を図式化したものです。この図は開発者がユースケースとペルソナ間の関係を分析するのに役立ちます。
状態遷移図(ステートマシン図)
UML ステートマシン図(状態遷移図)はシステム内のさまざまなコンポーネントの動作を表現する際に使用される UML 図です。
開発中のプログラムの状態に応じて、各構成要素がどのように異なる動作をするかをこの図を使用して視覚化することができます。
プロファイル図
プロファイル図は UML 2 で導入された新しい図の 1 つです。
この図が制限された環境でのみ使用され、プロファイルパッケージで作成されたすべての図をプロファイル図と呼称します。
UML 図が使用されるケース
UML図は主にソフトウェアの開発プロセスや既存のソフトウェアの分析に使用されますが、あらゆる種類の複雑なシステムを視覚化するのに有効です。
UML図がどのように役立つか以下では 2 つのケースを通して説明します。
ソフトウェア開発
ソフトウェア開発チームは新しいソフトウェアを構築したり、既存のソフトウェアを分析、理解するためにUML 図を使用します。コーディングや開発を開始する前に、UML 図はソフトウェア開発チームがプロジェクトを視覚化し、計画することに役立ち、優先順位付けとリソースの割り当てに効果を発揮します。
また、UML図はプロジェクトで使用されるコーディング言語が複雑なものである場合に、共通言語としても機能します。誰もが理解できる図があれば、コーディングの経験がない人でも、プロジェクトのニュアンスや流れを理解することができます。
ビジネスマネジメント
UML 図はワークフローの整理と可視化にも役立つためビジネスマネジメントの分野でも広く採用されています。そのため業務の進捗状況を把握したい経営者にとっても効果的な図と言えるでしょう。
チームで UML 図を使用することでプロセスの追跡やそのプロセス内の要素がどのように相互作用するかを視覚化することができます。
また、UML 図はシステムが正しく機能するために何が必要なのか、他のシステムやソフトウェアとどのように統合できるのかを理解するのにも役立ちます。
ビジュアルを使用することで情報をよりわかりやすく理解することができるため、役割や経験に関係なく、従業員と経営陣が同じ認識を持つことができます。
UML 図作成時のルール
UML 図を作成する際にはいくつかのルールを守る必要があります。下記では効果的なUML 図を作成するためのこれらのルールについてご紹介します。
テンプレートを使用する
UML 図を作成したことがない場合、何もないところからこの図を作成するのは少し難しいと感じることでしょう。しかし、作図用のテンプレートを使用することで、図の作成にかかる時間を削減し、構成要素を記入していくだけで簡単に UML 図を 作成することができます。
UML 図を作成する目的を明確にする
UML 図には特定の目的に対応するさまざまな種類の図が存在します。 UML 図を作成する目的を明確化することで最も最適な種類の図を選択することができ、図の効果を最大限引き出すことが可能になります。
チームでの共有とコラボレーション
UML 図の最大の目的は、システムやプロセスを視覚化することですべての関係者が情報を理解できるというところにあります。
しかし、視覚化することだけが理解を深めるための唯一の方法というわけではありません。UML 図をチームで共有することで、コラボレーションを促進し、全員が同じ目標を持ってプロジェクトに注力することができます。
まとめ
UML 図は共通のモデリング言語を通して複雑なシステムやプロセスについてのコミュニケーションツールとして役立つ図です。
また、この図は IT 分野だけではなく、ビジネスマネジメントなど広い分野で採用されている図です。UML 図を作成したことがない場合は、テンプレートや専用のツールを使って簡単に図の作成を開始することができます。
UML 図には Miro の UML 図作成ツールや UML 図テンプレートを使用することもおすすめです。
ちなみに上記のイメージはすべて Miro のツールで作成したUML 図のイメージです。 ぜひ自身で Miro を使ってみてその機能をご体験ください!
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