作成ガイド | UMLコンポーネント図とは?書き方、活用する記号を詳しく 解説

UMLコンポーネント図についての画像

UMLコンポーネント図は、ソフトウェア・システム開発において重要となる UML(Unified Modeling Language:統一モデリング言語)の1つです。

この記事では、そんなコンポーネント図についてや、使用される記号、書き方などを わかりやすい例を使って解説しています。

記事の最後には、コンポーネント図の作成におすすめのツールやテンプレートも ご紹介しているので、ぜひご確認ください。

それではコンポーネント図について見ていきましょう。

UMLコンポーネント図とは?

Asset generated from Bynder: https://dam.miro.com/media/?mediaId=33ECC4CD-6C59-4CA6-83317C6DCD54006F

Asset generated from Bynder: https://dam.miro.com/media/?mediaId=33ECC4CD-6C59-4CA6-83317C6DCD54006F

UMLコンポーネント図は、ソフトウェアやシステム開発において物理的な構造を モデリングするために使用されるUML(Unified Modeling Language:統一モデリング 言語)の1つです。

コンポーネント図は、主にシステムを構成する個々の部品やその部品が提供する インターフェース、部品間の接続や依存関係を示します。

これにより、システムの構造と、システム内の各部品がどのように相互作用するかの 概要が明確になり、開発プロセスをよりスムーズに進められます。

▼ 関連ページ UML とは?知っておきたい情報をまるっと解説

UMLコンポーネント図を作成するメリット

コンポーネント図を作成することにはいくつかのメリットがあります。

以下でこれらのメリットについて見ていきましょう。

システム構造の明確化

コンポーネント図を作成することでシステムを構成するコンポーネントやその関係を 明確に示すことができます。

これにより、開発者や関係者はシステムの全体像を把握しやすくなり、より効率的な 設計や開発が可能になります。

また、システムのどの部分が他のコンポーネントに依存しているかが明確になるため、 変更が必要な場合の影響範囲を正確に把握でき、変更を追加する場合のリスクを 最小限に抑えることができます。

再利用可能なコンポーネントの特定

コンポーネント図では再利用可能なコンポーネントが特定でき、開発時間の短縮や コスト削減につながります。

また、一度開発に使ったコンポーネントを他のプロジェクトでも再度活用できるため、 開発プロセスの生産性の向上にこの図が役立ちます。

コミュニケーションの促進

コンポーネント図は、開発者間やステークホルダー間のコミュニケーションの促進にも 役立ちます。

視覚的な図を使うことで、テキストベースのドキュメントよりもシステムの詳細が 一目で把握でき、構造や依存関係も説明しやすくなります。

システムのモジュール化

コンポーネント図はシステムをモジュール化することに活躍する図です。

システムをモジュール化することで、各コンポーネントが独立して機能するように システムを設計できるため、システム全体の柔軟性が高まり、今後の拡張やメンテ ナンス作業が容易になります。

ドキュメントとして管理

コンポーネント図は、システム構造に関するドキュメントとして管理できます。

プロジェクトのライフサイクルを通じて、新たなチームメンバーのオンボーディングや 外部の関係者への説明資料として活用できるため、ナレッジマネジメントに役立つツールです。

コンポーネント図で使用される記号

コンポーネント図で活用される記号についてよく知ることで、誰でもパズルを作成する かのようにUMLコンポーネント図を作成できるようになります。

以下でこれらの記号について見ていきましょう。

コンポーネント記号

コンポーネントは、システムを構成する部分・コンポーネントを示すときに使用される 記号です。

一般的には、長方形で表され、その中にコンポーネントの名前が記入されます。

インターフェース記号

インターフェースには「Provided Interface(提供されるインターフェース)」と 「Required Interface(必要なインターフェース)」の2種類があります。

以下で各インターフェースについて見ていきましょう。

Provided Interface(提供されるインターフェース)

コンポーネントが外部に提供するサービスや関数を示す時に使用されるインター フェースです。

円に「lollipop(ロリポップ)」の形で表されることが多いです。

Required Interface(必要なインターフェース)

コンポーネントが機能するために外部から必要とするサービスや関数を示します。

半円の形(「socket(ソケット)」形)で表されることがあります。

依存関係記号

依存関係にあるコンポーネントが他のコンポーネントやインターフェースに依存している ことを示し、破線の矢印で表され、依存の方向を矢印の向きが指し示します。

アーティファクト記号

アーティファクト記号は、システムを構築する過程で生成される物理的なファイルや設定を 示すのに使用される記号です。

長方形を使用して表され、その中にアーティファクトの名前と種類が記入されます。

ポート記号

ポート(Port)記号は、コンポーネントの外部との接続点を示す時に使用する記号です。

小さな四角形で表され、コンポーネントの間に配置されます。

パッケージ記号

パッケージ(Package)記号は、関連するコンポーネントやクラスをグループ化する ために使用されます。

大きな長方形を使って表し、その中に含まれる要素がこの記号の中に記入されます。

メモ記号

メモ記号(Note)は、図の特定の要素や関係に関する追加情報、説明、コメントを 提供するために使用され、付箋に似ています。

また、メモ記号は、コンポーネント図を含むUMLの多くの図で共通の記法です。

これらの記号を組み合わせて使用することで、システムの物理的な構成やコンポーネント間 の関係性を可視化することができます。

UMLコンポーネント図は、ソフトウェアの設計やドキュメント作成において重要なツールです。

UMLコンポーネント図の書き方

ここでは実際のUMLコンポーネント図の書き方について電子メールシステムの開発の例を 使いながら見ていきましょう。

Step 1:システムに必要なコンポーネントを洗い出す

まず、システムを構成する主要なコンポーネントを洗い出しましょう。

電子メールシステムの開発の場合、以下のようなコンポーネントが考えられます。

  1. ユーザーインターフェース:ユーザーがメールを作成、表示、送信できるインターフェース。

  2. メール送信サービス:メールを外部に送信する機能。

  3. メール受信サービス:外部からメールを受信する機能。

  4. データストア:送受信されたメールを保存するデータベース。

Step 2:コンポーネント間の関係を定義する

次に、これらのコンポーネント間の関係を定義します。このステップでは、 コンポーネントがどのように相互作用するかを考えます。

例えば「ユーザーインターフェースは、メール送信サービスおよびメール受信サービスと 直接通信する」や「メール送信サービスとメール受信サービスは、メールデータを データストアに保存」などの相互作用があることが考えられます。

Step 3:コンポーネント図を書いていく

ここでは、Step 1 で洗い出したコンポーネントとそれらの関係を図で表現していきます。

UMLの記法に従って、各コンポーネントを長方形で表し、提供するインターフェースや 依存関係を線で接続します。

上記の例から以下の情報をコンポーネント図に書くことができます。

  • ユーザーインターフェースコンポーネントを書き、それからメール送信サービス およびメール受信サービスへの矢印を追加する。

  • メール送信サービスとメール受信サービスからデータストアへの依存関係を示す 矢印を追加する。

Step 4:インターフェースとその他の必要な要素を追加する

コンポーネント間のインターフェースを追加します。

例えば、メール送信サービスには「メール送信」というインターフェースがあり、 データストアには「データ保存」と「データ取得」のインターフェースがあるとします。

これらのインターフェースを、それぞれのコンポーネントに関連付けられた小さな円 (lollipop:ロリポップ)や半円(socket:ソケット)で表します。

Step 5:プロジェクトチームとコンポーネント図を共有

コンポーネント図が完成したら、コンポーネント、インターフェース、依存関係などを 見直し、プロジェクトチームと共有しましょう。

図を共有することで、フィードバックや改善点の特定などをチームで実行することが できます。

クラス図とコンポーネント図の違い

コンポーネント図はクラス図は、どちらもシステム・ソフトウェア開発において重要な 図ですが、コンポーネント図はクラス図よりも抽象度の高いUML図であり、個々の コンポーネントは1つあるいは複数のクラスで実装されます。

コンポーネントはシステムを構成する部品として機能します。

▼ 関連ページ UMLクラス図とは?書き方や作成のコツを例を使ってわかりやすく解説

UMLクラス図の作成におすすめのツールはこちら →

コンポーネント図の作成には Miro がおすすめ

オンラインワークスペースである Miro では便利な作図ツールや自動ダイアグラム作成 機能、AI 作図機能、UMLシェイプパックなどのツールを使ってコンポーネント図の作成を 効率化できます。

チームやクライアントと離れた場所で業務をしていても、多彩な共有機能を備えた オンラインスペースを通していつでもリアルタイムで図を編集・共有可能です。

Miro を使ってチームでのコンポーネント図の作成を実現しましょう。

以下のリンクから製品ページをご覧いただけます。

Miro の作図ツールMiro のUML図作成ツールMiro のUMLコンポーネント図作成ツールMiro のUMLコンポーネント図テンプレートMiro の作図テンプレートMiro のPlantUML作成アプリ

新しい働き方を Miro で実現しましょう!

Miro はチームで課題を解決し、新しいアイデアを発見するための「ワークスペース」です。