プロセスとワークフローの可視化は、ソフトウェア エンジニアリング、製品、デザインチームにとって極めて重要です。可視化することによって、アプリケーションの設計やコードを整理、構造化し、システム内の問題を解決に導き、プロジェクトや製品に関する知識をチームと共有できるからです。
フローチャートは、このプロセスにおいて有用なツールです。プログラマーのタスクを支援します:
- プログラミングの一連の流れにおけるすべての重要なステップ、依存関係、意思決定ポイントを簡単に視覚化
- 新しいプログラムのロジックのプラン二ング
- 既存のプログラムをマッピングすることで、馴染みの薄いコード構造をより深く理解し作業に活かす
- 開発者、デザイナー、プロジェクト マネージャーの連携を強化し、部門間の可視化とコラボレーションを促進
このガイドでは、プログラミング用のフローチャートの作成方法と、視覚化ツールのさまざまな活用方法について説明します。Miro のフローチャートテンプレートをぜひご覧ください。フローチャートを簡単に作成できる方法をご案内しています。それでは基本のステップから見ていきましょう。
フローチャートとは?
フローチャートとは、プロセス、システム、アルゴリズムを視覚的に表したダイアグラムです。これらのダイアグラムは、シーケンスを文書化、研究、計画、改善し、ダイアグラム作成者と他の関係者にわかりやすく伝達するために使用されます。
フローチャートの目的は、シーケンスを視覚化することです。ここでフローチャートを作成する前に、まず何を達成したいのかを考える必要があります。
フローチャートでできることの 3 つの例をご紹介しましょう。
1.アルゴリズムの設計と視覚化
クライアントからのリクエストをバックエンドサーバーのプールに分散させる、ウェブサービス用の負荷分散アルゴリズムを設計する役割を任されます。このアルゴリズムの目的は、トラフィックを均等に分散させ、それぞれサーバーに負荷がかかり過ぎないようにすること、そして同時に、エンドユーザーへのサービスも維持することにあります。
このシナリオでは、フローチャートを使用して、このアルゴリズムの複雑な意思決定プロセスを管理可能なステップに分解し、どのようなコードロジックを構築して展開する必要があるかを容易に判断できます。
このフローチャートはコミュニケーションツールとしても機能し、エンジニア、UXデザイナー、その他の非技術系チームメンバーなど、社内の他の関係者もアルゴリズムのデザインを容易に理解することができます。
こちらがアルゴリズムのフローチャートの視覚的な例になります。

2.プログラムのデバッグとトラブルシューティング
例えば、QA中に入力検証でプログラムがクラッシュしたとします。このクラッシュの原因がわからないため、フローチャートを使って意思決定プロセスとデータフローを視覚化します。これにより、エンドツーエンドのユーザーフローの文脈の中で、特定のエラーがシーケンスのどこで発生しているのかその理由を特定でき、エラーを正確に把握することができます。
フローチャートは、問題の診断や解決に必要な手順を視覚的に表示したい時にも使用できます。これにより、トラブルシューティングのプロセスが標準化され、QAチームメンバーが全員品質管理のための体系的なアプローチに従うことができます。また、プロセスを可視化することで新メンバーのオンボーディングが効率的になり、事業の進行スピードに皆が追いつくことができます。
こちらがトラブルシューティング フローチャートの例です。

3.システムやプロセスの文書化
大規模なプログラミング・プロジェクトでは、システムのさまざまな部分がどのように相互作用するかをマッピングした信頼できる情報源が、チームの連携に必要です。この場面ではフローチャートが役立ちます。様々なモジュールや関数を介したデータの流れを図示することで、アプリケーション全体がどのように機能するかを示します。
こちらはオンプレミスからクラウドへの移行プロジェクトのステップを示したフローチャートの例です。これは、開発チーム間で分割されたサブプロジェクトと、移行、ローンチ後の安定したシステム運用を確保するためにどのように相互に作用するのかを示しています。

フローチャートを使った作業を始める前に、まず、何を達成したいのか、何を視覚化するのか、あなたの仕事がどのように利用されるのか、誰が使用するのかを決める必要があります。これにより、フローチャートの範囲や、含めるべき詳細のレベルを決定しやすくなります。
プログラミング プロセスの手順の特定
フローチャートの目的が決まったら、次にプロセスやワークフローの主要な手順と、それを視覚的に表現するための記号を決定します。
まず、プロセスの主な手順を特定します。これには、シーケンスやプロジェクトにおけるすべての重要なステージやタスクを含める必要があります。
特定の手順を含めるべきか悩んだら、そのプロセスやワークフローを正常に完了させるためにそれが必要になるかどうかを検討してください。もし必要であれば、アクションリストに追加し、フローチャートに組み込みます。
プログラミング プロジェクトで作成することもある、最も基本的なアルゴリズムを使ってみましょう。このアルゴリズムは数字が奇数か偶数かを判断し、それに応じて分類します。一連のアクションリストは以下の通りです。
- プロセスの開始
- 入力操作: ユーザーが、チェックする必要のある数値を入力
- 判断ポイント: 数が 2 で割り切れるかどうかを確認
- ダイヤモンド: ユーザー入力の結果に基づく 2 つのアクションの決定
- アクション: 「はい」の場合、番号に「偶数」のタグが付けられる
- アクション: 「いいえ」の場合、番号に「奇数」のタグが付けられる
- シーケンスの終了
行動範囲が決まったら、フローチャートのマッピングに必要なビジュアルを指定します。
フローチャートの記号を選択する
フローチャートにはさまざまな記号があり、各記号に意味があります。
最も一般的なフロー記号には以下のようなものがあります。
- 楕円は、プロセスの開始または終了を表します。
- 長方形は、タスク、アクティビティー、オペレーションなど、プロセスフローの手順を表します。
- 矢印は、プロセスの方向と順序を示します。フローチャートのさまざまな記号をつなぐことから、これらはコネクタ記号と呼ばれています。
- 平行四辺形は、データの読み取りや結果の印刷など、入力または出力操作を表します。
- 菱形は、プロセスフローにおける意思決定ポイントを表します。
- 円は、フローチャートの異なる部分をつなぐために使用され、フロー内のジャンプを表すこともあります。
まず、すべての行動やタスクを完了順にリスト化し、上記の基準に基づいた記号に対応させます。奇数または偶数のアルゴリズムの例では、次のようになります。

ご存知ですか?
Miro のフローチャート作成ツールには、プロセスやワークフローをマッピングするための一般的なフローチャートの記号やコネクタが多数揃っています。
プロセスフローの決定
タスクやアクションに記号を割り当てたら、次はプロセスの流れを決めます。各項目を発生順に並べるのが最も簡単な方法ですが、判断ポイントや if/then ツリーなど、入力や定義された結果に依存する箇所がある場合は少々困難になります。
わかりやすくするために、Miro のようなデジタル キャンバスにすべての記号を並べ、発生順に視覚的に配置しましょう。判断ポイントを横に配置し、フローチャートの様々な経路をマッピングするツリーレイアウトの作成を開始します。
フローチャートの記号を繋げる
あとは、それぞれの記号を矢印や線で結び、プロセスやワークフローの流れを視覚的に表現するだけです。
各ステップ間に接続線と矢印を追加し始めましょう。これらの線にラベルを追加して、各アクションの間で起こることを説明したり、判断ポイントについてより多くのコンテキストを提供したりすることができます。必要に応じて要素を移動させ、線を再調整して、最初から最後までの論理的な流れを作りましょう。
矢印の方向がフローチャート全体で一貫していることを確認してください。こうすることで、アクションリストのワークフローやシーケンスの方向を示します。フローチャートによっては、実線の矢印を組み合わせてプロセスの主な流れを示す実線の矢印を描いたり、点線を組み合わせて、オプションや依存するサイドパスを表したりすることもできます。フローチャートの複雑さに応じて、線の種類を変えてみましょう。
奇数・偶数アルゴリズムのフローチャートではこのようになります。

Miro を使ってプログラミングのフローチャートを作成
フローチャートの作成で使用するツールは、プロセスそのものを理解するのと同じくらい重要な役割を果たします。Miro のフローチャート作成ツールでは、シンプルおよび複雑なダイアグラムをゼロから、または何十種類もの既存のテンプレートから作成することができます。
チームで協力しながらシーケンス内の主要なアクションとステップをキャプチャし、同じプラットフォーム内でフローチャート作成モードに移行します。完成したフローチャートを組織内のチームメンバーと共有し、リアルタイムまたは非同期で協力しながら実装を進めることができます。
プログラミングは、複雑なプロセスです。フローチャートは、いざという時のプログラマーの奥の手であり、アプリケーションやネットワークを計画、理解しやすくするためのサポートツールとなります。これにより、プロジェクトがより効率的になり、トラブルシューティングに費やす時間が短縮され、エンドユーザーに喜ばれる優れた製品を創出できます。