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アジャイル開発におけるスクラムとは?特徴やスクラムイベント、成果物についてわかりやすく解説

スクラムについての画像

「スクラム」とは短い期間で計画と実行を繰り返すアジャイル開発フレームワークの 1 つです。

頻繁に改善が必要なソフトウェアやシステム開発では、人気のフレームワークとなっています。

スクラムを採用することで開発チーム内での認識のズレを解消しながらプロジェクトを 進めることができるので、プロジェクトの効率や生産性を向上することにもスクラムが 役立ちます。

この記事ではスクラムについてやスクラムを採用するメリット、特徴や価値基準について ご紹介します。

記事の最後にはおすすめのアジャイル開発ツールやテンプレートもご紹介しているので、 ぜひ最後まで記事を読んでいただけると嬉しいです。

それでは、スクラムについて見ていきましょう。

スクラムとは?

上記でも簡単にご紹介したように「スクラム」とは短い期間で計画と実行を 繰り返すアジャイル開発フレームワークの 1 つです。

最大10人で構成される「スクラムチーム」で 1 ヶ月以内の期間で設定される 「スプリント」を通して、ソフトウェアやシステム開発の計画、タスクの実行がされます。

スクラム手法には「プロダクトオーナー」「スクラムマスター」「開発メンバー」の 3 つの役割が存在し、3つの成果物を作成します。

この手法を実践することで、開発チーム内で常に認識を合わせながらプロジェクトを 進められ、プロジェクトの効率化や生産性の向上、リソースの最適化などのメリットを 得ることができます。

スクラムの特徴

スクラムには重要な柱として機能する「3つの特徴」が存在します。

以下で各特徴について見ていきましょう。

1. 透明性

スクラムにおける「透明性」とは、プロジェクトメンバーが作業内容や プロジェクトの状況を明確に理解するために必要な特徴です。プロジェクトに透明性を 持たせることで、すべてのメンバーが正確な認識の共有を持って作業に当たることができます。

2. 検査

「検査」は、プロジェクトが計画通りに進行しているかを定期的に確認し、 必要な調整を行うことを指します。検査はスクラムの基本的なプロセスであり、 プロダクト・サービス、開発プロセスの問題点を早期に発見し、次の「適応」で 軌道修正するために必要なプロセスとして機能します。

3. 適応

「適応」とは、「検査」の結果に基づき、プロセスやプロダクト・サービスの 軌道修正を行うことです。適応は、スクラムの原則である「インスペクト&アダプト (検査と適応)」の核心を成すものであり、継続的な学習と改善を通じて製品の価値を 最大化することを目指します。環境や要件が変わる中でも、チームが効果的にタスクを 実行し、高品質のプロダクト・サービスを提供し続けるために重要な特徴だと言えるでしょう。

スクラムにおいての 3 つの役割

ここでは、スクラムを実行するのに必要な 3 つの役割について見ていきましょう。

各役割を理解することにより、スクラムの効果をより発揮させることができます。

プロダクトオーナー

アジャイル開発におけるスクラムフレームワークでは、「プロダクトオーナー」は プロジェクトのビジョンを設定し、製品の価値を最大化する責任を持つ重要な役割です。

プロダクトバックログを管理し、アイテムの優先順位を決定、ステークホルダーとの 連携を密にして要件を明確にし、チームに対して明確な方向性を提供しなければなりません。

また、スプリント計画においては、どの機能が開発されるべきかを決め、 その機能が満たすべき要件も定義します。

つまり、プロダクトオーナーはチームとステークホルダー間のコミュニケーションを 円滑にし、プロジェクトの進捗に関する透明性を確保する役割を果たします。

スクラムマスター

「スクラムマスター」は、チームがスクラムフレームワークに沿って効率的に スクラムを実行できるようにサポートする役割を持ちます。

プロジェクトの進行における課題・問題を取り除き、プロダクトオーナーと 開発チームがスムーズに協力できる環境を整えます。

また、スクラムマスターにはスクラムの価値基準や原則を守るためのコーチとしての 役割もあり、チームメンバーが自発的にスクラムを実行できるようにトレーニングする こともあります。

スクラムのミーティングであるデイリースクラム、スプリント、スプリントレビュー、 レトロスペクティブ(ふりかえり)もスクラムマスターが進行します。

そのため、スクラムマスターはプロジェクトにおいて、チームの生産性や モチベーションを高めるためのキーパーソンと言えるでしょう。

開発メンバー・チーム

スクラムにおける「開発メンバー・チーム」は、実際にシステムやソフトウェアの開発を 行う人たちのことを指します。

開発メンバー・チームは、プロダクトオーナーが優先度をつけたバックログ項目を、 スプリント内で実行する役割を持っており、プログラマー、テスター、デザイナーなど、 プロジェクトに必要なさまざまな技術的スキルを有した開発のプロたちで構成されています。

自己組織化されたチームとして機能し、互いに協力して作業を進め、スクラムの 価値基準に基づき、透明性、検査、適応に焦点を置きながら、日々のデイリースクラム ミーティングを通じて進捗状況を共有し、問題解決を図ります。

また、開発メンバー・チームは、スプリント計画会議でのタスクの見積もりと配分、 スプリントレビューでの成果物の説明、レトロスペクティブでの改善点の議論といった スクラムイベントにも積極的に参加します。

その結果として、製品のインクリメント(増分)をスプリントの終わりに提供することが 開発メンバー・チームには求められます。

スクラムにおいての価値基準

上記では「価値基準」という言葉が何度か出てきました。

価値基準とは、スクラムが正常に実行されているかを測定するための基準であり、 「確約」「勇気」「尊敬」「公開」「集中」の 5 つの価値基準を実践できるかどうかで スクラムの成否が決まるといわれています。

以下でスクラムの価値基準について見ていきましょう。

確約:チームメンバーは共有された目標に対して全員がコミットし、 その達成のために最善を尽くす責任を持ちます。彼らは与えられたスプリントの 目標に対して、質の高い成果を出すことに自身の能力を捧げることを確約しなければ なりません。

勇気:チームメンバーは困難な課題に取り組む勇気、誤りを認め改善する勇気、 そして変化に対応する勇気を持つ必要があります。正直かつ開放的なコミュニケーションを 通じて問題に立ち向かい、適切なリスクを取ることがスクラムにおいて重要になります。

尊敬:チームメンバーはお互いを尊重し、個々の能力と貢献を価値あるものと 認め合う必要があります。尊敬は、チーム内の人々が互いの意見を聞き、 相手の専門知識を信じることを意味しています。

公開:透明性を実現するために、チームメンバーは作業の進捗、課題、成功、 失敗についてオープンである必要があります。これにより、ステークホルダーは、 プロジェクトの進捗状況を正確に理解し、適切な意思決定をすることができます。

集中:チームメンバーはスプリントの目標達成に集中し、外部の妨げがないように します。集中することで、各メンバーは優先順位の高いタスクに力を注ぎ、 プロジェクトの生産性を高めることができます。

スクラムで実行される 5 つのイベント

スクラムは、スプリントという期間で、スプリントプランニング、デイリースクラム、 スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブといったスクラムイベントを 通してソフトウェアやシステムの開発を行います。

ここでは、各スクラムイベントについて見ていきましょう。

スプリント

「スプリント」は、スクラムにおいて 1 ~ 4 週間の期間で設定された開発サイクルの ことを指します。1 つのスプリントが終われば、次のスプリントを開始し、 各スプリントの完了後にはプロダクト・サービスのインクリメント(成果物)が プロジェクトチームに共有されます。

スプリントプランニング

「スプリントプランニング」は、スプリントの始まりに行われる計画会議であり、 どのような作業やプロセスを次のスプリントで実行されるべきかをスプリント プランニングで議論します。各会議では「スプリントゴール」が定義され、 スプリントバックログが作成されます。

デイリースクラム

毎日行われる短いスタンドアップミーティングで、通常は 15 分以内で終了します。 チームメンバーは何を完了したか、今日何をするか、何か課題、問題、ボトルネックは あるかを「デイリースクラム」を通してチームと共有します。

スプリントレビュー

スプリントの終わりに行われ、チームはステークホルダーに進捗を共有します。 スプリント中に完成した成果物についてフィードバックを受け、今後の製品バックログの 優先順位付けに情報を役立てます。

スプリントレトロスペクティブ

スプリントの最後に行われるふりかえりプロセスであり、次のスプリントを 改善するために何がうまくいったか、どんな改善が必要かをチームで振り返ります。 プロセスやツール、人間関係など、チームの作業方法全般にわたって、改善点を 「スプリントレトロスペクティブ」で議論します。

これらのスクラムイベントは、スクラムチームが計画、実行、学習し、プロセスを 調整するための構造を提供してくれます。繰り返し行われるこれらのイベントを通じて、 チームは、プロダクト・サービスの価値を継続的に高めていくことが可能です。

▼ 関連ページ スプリントとは?開発プロセスからメリットをすべて解説

スクラムで得られる成果物

スクラムの成果物(アーティファクト)は、スクラムチームがのプロダクト・サービスの 価値を提供し、作業を管理する際に使用する具体的なツールや情報のことを指します。

以下で 3 つのスクラムの成果物について詳しく見ていきましょう。

プロダクトバックログ

「プロダクトバックログ」は、プロダクト・サービスに関するすべての機能、要件、 改善、修正のリストです。プロダクトオーナーが作成し、優先順位をつけ、 内容を明確にし、必要に応じてアイテムを追加または変更します。

▼ 関連ページ プロダクトバックログとは?書き方と例について解説

スプリントバックログ

現在のスプリントの目標を達成するために優先するプロダクトバックログアイテムと、 これらのアイテムを完了するためのバックログ情報です。スプリントプランニング中に チームで優先順位を設定し、スプリントの間、チームによって更新されます。

プロダクトインクリメント

スプリントの終わりに完成し、プロダクトバックログのアイテムに対する 「Done(完成)」の定義を満たしている機能です。インクリメントは、 前のスプリントから引き継がれたすべてのプロダクト・サービスの インクリメントに加えられ、積み重ねられていきます。

これらの成果物は、スクラムフレームワークの中で進行状況を可視化し、 進捗を追跡するための基盤を提供します。プロダクトバックログとスプリント バックログは、計画と優先順位付けのための動的な管理ツールであり、 製品のインクリメントはチームが達成した具体的な結果を示します。これらの成果物を 通じて、スクラムチームは製品の継続的な改善と価値の向上を実現することができるのです。

まとめ

「スクラム」とは短い期間で計画と実行を繰り返すアジャイル開発フレーム ワークの 1 つであり、頻繁に改善が必要なソフトウェアやシステム開発では、 人気のフレームワークです。

スクラムには「透明性」「検査」「適応」の 3 つの特徴があり、これらの特徴を 中心にスクラムのサイクルを回すことで、スクラムの効果を高めることができます。

また、スクラムの価値基準である「確約」「勇気」「尊敬」「公開」「集中」の 5 つの価値基準を実践できるかどうかでスクラムの成否も決まってきます。

スクラムではスプリントという期間で、スプリントプランニング、デイリースクラム、 スプリントレビュー、スプリントレトロスペクティブといったスクラムイベントを 通してソフトウェアやシステムの開発が行割れ、繰り返し行われるこれらのイベントを 通じて、チームは、プロダクト・サービスの価値を継続的に高めていくことが可能です。

この記事でご紹介した内容をスクラムガイドとして今後のスクラムイベントでも ご参照ください。

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