2011 年、Miro はイノベーションの未来を拓く、共同作業のあり方に大きな変革をもたらす独自のソリューションを発表しました。それがキャンバスです。
想像力と共に無限に広がるキャンバスは、アイデアを模索しブレインストーミングを行い、創造性を育む自由なスペースをユーザーの皆さまに提供してきました。付箋、図形、色分け機能、構成要素はいたってシンプルですが、このツールの登場が、理想を追い求め新たなチャレンジに挑むチームに、インスピレーションを与えたことでしょう。
あれから 13 年が経ちました。現在、23 万社もの企業、7,000 万人を超えるユーザーが、ブレインストーミング、アイデア出し、情報整理、意思決定、計画の遂行、市場投入といった事業のプロセスに、 Miro を採用しています。
しかし、このソリューションがまだまだ未完全であることは感じていました。作業を迅速化するために設計されたツールであっても、実際の現場では足手まといになることもあります。人々は実際の仕事よりも、仕事の方法論や仕事を行う場所にこだわることにエネルギーを費やし、その結果依然としてチーム間の相互理解は進まず、意思決定が滞るばかりです。イノベーションとは本来、共通のゴールに向かって全力疾走するパワフルなプロセスです。、しかし実際には、変革の過程を長期間にわたる苦痛のようだと感じている企業が多いのです。
この 12 か月間、私たちは何百もの企業からこのような話を聞いてきました。こうした状況を脱し、企業がイノベーションを加速できるように何かできないだろうか。Miro のミッションはあきらかでした。
この度 Miro は、インテリジェント キャンバスを発表します。これまでと同じく企業のイノベーションを支援するソリューションであることに変わりはありませんが、新たに AI 機能を追加し、堅牢なワークフローとインタラクティブなエクスペリエンス、拡張可能なテンプレートによってさらにパワーアップいたしました。インテリジェント キャンバスは、次世代のテクノロジーでありながらシンプルで直感的に操作でき、かつてないほどの処理能力でスピードアップを可能にします。
インテリジェント キャンバスとは
インテリジェント キャンバスを開発するにあたり、ブレインストーミングだけでなく、イノベーション プロセスのあらゆる段階で部門横断型の円滑なコラボレーションを可能にする必要があることを、当初から理解していました。そこで、作業時間の無駄を省き、アプリ間の切り替え時にコンテキストを紛失しないよう、より効率的なワークフローの実現を目指しました。AI 機能がプロセスの改善に効果をもたらすことは明らかでしたが、ユーザーにとって重要な日常の作業に役に立つ場合にのみその機能を実装すべきだろうと考えました。
この理念を背景として、インテリジェント キャンバスは、次の 3 つの原則に基づいて開発されました。
- シンプル:チーム内の誰もがプロジェクトに参加してプロセスを理解し、難なくスムーズに作業に取り掛かれるよう、キャンバスの操作性をより包括的で直感的なものに改善しました。
- フレキシブル:インテリジェント ウィジェットと自由に構成可能なワークフローを導入することにより、主要なプロセスのカスタマイズ性を高め、共同作業が進めやすくなりました。
- AI によるサポート:Miro AI は、円滑なワークフローを維持するサポートとして機能します。プロジェクトのライフサイクル全体を通して重要なタスクをすばやく遂行できるよう、アシストします。
インテリジェント キャンバスは、イノベーションを促進するプロジェクトの、いわばコントロールセンターのようなものだと考えてください。インサイトを集め、ソリューションを設計し、新しい製品やサービスを市場に投入する時に必要となる、すべての情報を集約した、関係者全員をまとめることができるスペースなのです。
- チームが共創し、より深くプロジェクトに関与できる環境を創出します
- あらゆるタイプの作業で活気ある部門横断型のコラボレーションを可能にします
- キャンバスに AI 機能を搭載
それではこの新機能について、もう少し詳しく見ていきましょう。
シンプル
製品開発は往々にして、改善を重ねるにしたがい、複雑化する傾向があります。それは優れた新機能を使いこなせる経験豊富なユーザーにとっては素晴らしいことですが、複雑なインターフェイスは、初心者にとっては苦手意識をもたらすだけです。
私たちはすべてのユーザーに、Miro が自分たちの使い勝手を考えて建ててくれたマイホームのようだと感じていただきたいと考えました。デザイナー、プロダクト マネージャー、人事マネージャー、クラウドアーキテクト、CIO、CEO。役職に関係なく、すべてのユーザーの快適なエクスペリエンスをかなえるため、いくつかの変更を加えました。
シンプルになった UI
まず、いつも使う機能を必要なときに簡単に見つけられるよう、インターフェイスを整理しました。無駄のない見た目を維持しつつ、さらに便利な機能を追加することができました。見かけは非常にシンプルながら充実の機能を取りそろえた新しいインターフェイスに、きっとご満足いただけることと思います。
スペース
シンプルになった UI でボードのナビゲーション方法が変わりました。そしてスペースでは、 Miro を使ったプロジェクトの整理方法も、今回大きく変わります。
イノベーションの取り組みを加速させるには、チームメンバーをひとつにまとめ作業効率をあげることが重要となります。チームメンバーが必要とする情報がさまざまなアプリ、メール、インスタント メッセージに分散した状況では、重要な情報をさがす作業だけで一苦労です。
スペースは、Miro ボードやサードパーティーのドキュメントから、分散されたすべての情報を取得し、どのボードからもアクセスできるハブにまとめて整理します。プロジェクトの関係者はいつでも必要な時に、同じ場所で情報を確認することができるのです。進捗状況を確認したい時も、同僚に問い合わせる必要はもうありません。、プランやプロジェクトの目標に修正が加えられてもその経過を皆が共有しているので、チームメンバーは共通の理解を持って作業を進めることができます。
モード
最後に、より高度な機能を使う一部のユーザーをサポートするための、モードについてご紹介しましょう。
ダイアグラム作成モードなど、ユーザーが作図作業に集中できるよう、不要な機能を省き必要な機能にすばやくアクセスできるモード機能を実装しました。複雑な構造のレベルを切り替えられるレイヤー、カスタム図形、ダイアグラムの配置、分布、レイアウトを更新する機能などが利用できます。
ダイアグラム作成モードは、すべてのプランでご利用いただけます。近日中にさらに多くのモードが公開されます。新着情報はこのスペースでお知らせします。さらに詳しい情報は、ダイアグラム作成のためのインテリジェント キャンバスのブログ記事をご一読ください。
柔軟性
活気のあるチームでは、、最高のパフォーマンスを発揮できます。私たちはイノベーションのプロセスが、アイデアに満ち溢れたエネルギッシュで魅力的なものになるよう努力を重ねました。そして、ユーザーが Miro キャンバスのフレキシブルな操作性を評価していることも認識していました。他のアプリとは異なり、 Miro はユーザーの特定のニーズに応じて、簡単にキャンバスをカスタマイズできます。そこで今回、新たにインタラクティブなエクスペリエンスを追加しつつ、従来のフレキシブルな機能も、さらに向上させました。
インテリジェント ウィジェット
インテリジェント ウィジェットは、特定のアクションをスピードアップすることができます。キャンバスを使ったチームでの共同作業を習慣化できる、インタラクティブなエクスペリエンスを提供します。このウィジェットは新たなキャンバス SDK で構築されているため、単なるスタンドアロンのエクスペリエンスではなく、データやコンテキストを意識したものとなっています。別の言い方をすれば、実際に相互作用することにより、その有用性を高めることができるというわけです。
今回インテリジェント キャンバスに導入された、 5 つのウィジェットはこちらです。
- ドット投票:配置先のオブジェクトに添付される 6 色のドットを使った投票を、簡単に実行できます。オブジェクトを動かすとドットも動きます。
- アンケート:ボードまたはテンプレートで直接投票を作成できます。投票作成者は質問を編集でき、それ以外のユーザーは投票したり結果を見たりすることが可能です。
- ユーザーリスト:これまでもボード上でアクティブユーザーのリストをいつでも見ることができましたが、今回、相互作用が可能になりました。ユーザーのアバターをドラッグ & ドロップすると、コンテキストに応じたアクションをトリガーできます。付箋にアバター画像をドロップすると、メモを動かしてもそのまま残り、Jira カードにドラッグすると、そのユーザーは関連するタスクに割り当てられます。スムーズで処理が速く、気軽に使える機能です。
- ストーリーポイント:作業量や複雑さは、タスクによって異なります。ストーリーポイントを使えば、特定のタスクに必要なユーザーの数を割り出したり、カードに直接数字をドロップして完了までの時間を判断したりといった作業が簡単になります。
- カウンター:キャンバス SDK 技術で、カウンターを使えばユーザーが割り当てたストーリーポイントの数を自動的に合計し、キャパシティー プランニングをさらに容易にします。
構成ワークフロー
ご紹介したインテリジェント ウィジェットは、インタラクティブな体験を実現するツールであり、また、新しい構成ワークフローの構成要素でもあります。
構成ワークフローは、特定のプロセスをよりシンプルで協調的なものになるようにカスタマイズする方法です。これは、作業、プラン、知識を 1 つの場所に表示しながら、ステップをつないで自動化することによって実現します。インテリジェント キャンバスのパワーを最大限に引き出す方法です。
このメソッドにより、Miro の新しい AI とインタラクティブな機能を使用したロードマップ作成、キャパシティ プランニング、スプリント プランニング、ジャーニーマップ作成、クラウド インフラストラクチャー最適化や他の作業ツールとの統合などの独自のワークフローを構成できるようになります。
その手始めとして、誰でもテンプレートメニューからダウンロードできる、12 種類のインテリジェント テンプレートが今回発表されます。マジック AI のシンボルが目印です。さらに、クラウドアーキテクトがインフラストラクチャーを設計するときにコストを考慮できるようにするためのカスタムワークフローで AWS と提携しました。
「インテリジェント キャンバスや WidgetSDK とともに発表された Miro の新しい機能により、開発者はお客様中心の革新的なソリューションを提供できるようになります。その一例として、Miro が AWS Prototyping チームのサポートを受けて開発した AWS Cost Calculator アプリがあります。これは、お客様が効率的に計画を立てて簡単にコストを最適化できるようにする、シームレスな価値主導のエクスペリエンスを提供するという、当社の取り組みを示すものです。」
AWS プロフェッショナルサービス ビジネス開発担当ディレクター、ピーター・ハンズ
アーキテクトは、AWS のダイアグラム作成アイコンパックを使用して、さまざまなクラウドインフラストラクチャー モデルを共同で可視化し、また、AWS のコスト計算ツールが、各モデルの予測されるサービスコストをリアルタイムで算出します。さらに深く掘り下げて確認する必要がある場合は、ウィジェットを使用して要素ごとのコストを把握し、設定しなおすことも可能です。
AI によるサポート
人工知能は、これまで時間のかかっていたタスクを自動化してチームが対応を迅速化できるようにするロケット燃料です。複雑で難易度が高いハイテク機能だと思われるかもしれませんが、心配はいりません。インテリジェント キャンバスでは、ボタンを押すだけで必要なときに、この独自の AI の機能を使うことができます。
この AI 機能は、この 3 つの核となる信念に支えられています。
- ヒューマン イン ザ ループ:AI はイノベーションを「実現」する魔法の杖ではなく、創造力をアウトソーシングする方法でもありません。AI が機能するには、人間の専門知識、ニュアンス、感覚が必要です。Miro の AI 機能は、ユーザーの戦略的思考を活かすために有用な機能ですが、決して人の思考に取って代わるものではありません。
- セキュリティー第一:セキュリティー、プライバシー、規制に関する懸念は、今もなお AI を広く導入するうえでの最大の障壁の 1 つとなっています。Miro は、データガバナンスやデータ処理などに関して、簡潔かつ透明性のある原則を掲げています。AI システムに移行する際のご心配は不要です。
- ユーザーにとって重要なタスク:Miro は、日常業務のイノベーション プロセスで重要な作業に AI が機能するようになって初めて、 AI の効果を最大限に活かすことができると考えています。メールをチェックしたり、インスタント メッセージを送ったりといった習慣的な日常の作業と同じように、気軽に AI を取り入れることが理想的です。
では、AI を使って仕事をスムーズにこなす 3 つの方法を見ていきましょう。
AI 生成メニュー
ボード上で付箋、テキスト、図形といったオブジェクトを選択すると、コンテキストに沿った AI 生成メニューを利用できます。これを使って、付箋をキーワードや感情でグループ化したり、テキストを要約し製品概要のようなさまざまな種類のドキュメントに変換したりできます。
この機能のメリットをご説明しましょう。毎日 1,200 万枚を超える付箋が Miro に貼り付けられています。そのような膨大な情報のどこかに、次の突破口への正しい道筋を示す重要なデータが潜んでいるのですが、それを見つけるには数時間、数日、あるいは数週間かかることもあります。しかしそのような状況を回避することもできます。AI はそれらのメモを数秒で選別し、インサイト、思考のきっかけ、またはアイデアに変換することができます。
「ボードのコンテンツをすばやく要約できる、それは革命的な機能です。Miro AI は、ボードのコンテンツ整理してくれるばかりでなく、また新たに加わった充実の機能で、アイデア創出の手助けもしてくれます。」
Simpli.fi アジャイルコーチ、アイザック・ガルシア
なんと、AI はユーザーのプロンプト無しでも動作します。ボストン コンサルティング グループによると、組織への AI の導入が遅れていることに不満を抱いている経営幹部の 62% は、スキルや人材の不足に原因があるとしています。従業員が適切なプロンプトを開発できないのではないか、つまり、AI を期待どおりに操作するために何を「指示」すればよいのかわかっていないのではないか、という懸念があるからです。
しかし、Miro の場合、特に指示する必要はありません。キャンバスがプロンプトなのです。ユーザーが興味のあるオブジェクトを選択することで、その情報から、Miro AI は何を求められているのかを学習します。
「Miro ボードに研究やワークショップの資料がすでにどれだけあるのかを考えると、この新しい AI 機能を導入して Google ドキュメントや Jira のような既存のプラットフォームと連携させれば、市場投入までのプロセスが劇的にスピードアップすることでしょう」。
Xero シニア ソフトウェア エンジニア、クライド・デソーザ
AI で作成
ぶnボタンを使った AI 作成メニューは、必要なときにすぐに使用できますが、AI を活用する方法はまだまだあります。[AI で作成] ボタンは、ボードのサイドセクションに常時表示されます。1 回押すと、付箋、ドキュメント、画像、ダイアグラム作成のオプションが表示されます。
たとえばお客様からのフィードバックが付箋上で選択されている場合、[AI で作成] を使うと、それをユーザーストーリーに変換したり、課題を特定したり、次のブレインストーミングを開始するための「How might we」の質問を作成したりできます。
「洗い出しで得たインサイトや決定事項を Miro で直接ポーカープランニング、ガント図、製品概要などのデリバリータスクに変換する機能を使えば、Miro と他のツール間の分断をなくすだけでなく、スプリントの優先順位について全員の足並みをそろえ、スピードを向上させることができます。」
WebMD グローバル製品担当 VP、サンドリーヌ・ヴェイエ
つまり、生成 AI を使用してダイアグラムを作成できるわけですが、それは作成したいものに関する指示を入力し、それをフローチャート、マインドマップ、ERD ダイアグラム、UML シーケンス、または UML クラス図のどれにするのかを選択するだけで完了する、というわけです。
ユーザーが創造的な作業に集中している間に、AI がそのほかの作業を手助けしてくれるのです。
AI パートナー
AI パートナーを使って、プロジェクトに新鮮な視点を取り入れたり、ブレインストーミングに多様な意見を取り入れたりできます。これは、イノベーション プロジェクトで人員が不足することが多く、作業を進める過程であつれきが生じる場合に非常に役に立ちます。
まるで同僚を会議室に招き入れ助言を求、あっという間に問題を解決してくれるような、そんな働きを AI パートナーがしてくれるのです。チームメイトの代わりにはなりませんが、パフォーマンスを向上させ、可能性を最大限に引き出してくれることは確かです。
Miro のプロダクトリーダー、アジャイルコーチ、プロダクト マーケティング担当のパートナーは、他のチームメンバーと同じようにコメントを追加したり、付箋を貼ったりして、ボード上でリアルタイムの参加者のように振る舞います。
そしてこれは単独の取り組みではなく、Miro は、世界最大のプロダクト マーケティング コミュニティーである Product Marketing Alliance のような業界のエキスパートと提携し、新製品の立ち上げや Miro のお客様向けのマーケティング キャンペーンの作成でも、こういったエキスパートの専門知識を活用しています。
私たちは、クレジット込みのプランに登録済みのすべての Miro ユーザーに、この AI 機能を提供しています。クレジットは、プランをアップグレードするか、無制限クレジットの Miro AI アドオンを購入することで延長できます。また、Enterprise 管理者は、機能アクセスページで AI 機能へのアクセスを管理することができます。
Miro でイノベーションをスピードアップ
企業のイノベーションの取り組みを加速するインテリジェント キャンバス。創造性とスマートなテクノロジーが融合し、画期的なプロジェクトのスピードと効率性をアップします。
顧客ニーズに重点を置いた製品をすばやく市場に投入して競争力を高めるとともに、複数のツールやプロセスを単一のワークフローに統合してコラボレーションを合理化し、運用コストを削減できます。そして従業員のスキルを向上させ、チームに活気をもたらし、エンゲージメントを高めます。
インテリジェント キャンバスは、評価の高い従来の Miro のパフォーマンスを上回る、充実の機能を追加しました。
- 最新鋭のテクノロジーを簡素化し、日常業務の手助けとなる使いやすく有用な機能として AI を実装。
- 個人作業とチーム作業をサポートする設計で、コラボレーション環境を整備。
- コード不要のカスタマイズ機能とセキュリティーを重視したシステム。
今回、トータル 50 種を超える新機能を Miro に導入します。多くの機能を一度に実装するため、慎重に展開していく予定です。今後数か月、定期的に新リリース情報を公開してまいります。またその過程でフィードバックをお寄せいただければ幸いです。