OODAループとは? PDCAサイクルとの違いや使い方を解説
OODA ループについての画像

OODAループとは? PDCAサイクルとの違いや使い方を解説

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“先読み力”も鍛えられるOODAループ

ビジネスの現場では、毎日激動の変化の中でPDCAを回しながら、様々なプロジェクトが 進められています。

一方PDCAを活用している中で、プランを立てて実行するフェーズまでやってきたが、 プランを立てた当初から状況が変わってしまい、PDCAの結果すらもあまり役立たなく なってしまったというような経験はないでしょうか。

多くの市場は日々急速に変化を繰り返しており、さまざまな要因が複雑に絡み合って 人々の行動に影響を与えています。

そのため、念入りにプランを立てたとしても、検証までがうまく機能しないということが 起こってしまうのです。そこで、今注目されているのが「OODA(ウーダ)」という プロジェクトマネジメントに活用されるフレームワークです。

本記事ではそんなOODAフレームワークやそのメリット、使い方などを具体的な例を 使ってわかりやすく解説します。

記事の最後にはOODAループの作成におすすめのツールやテンプレートについても ご紹介しているので、ぜひご確認ください。

それではOODAについて見ていきましょう。

OODA(ウーダ)とは?

OODAは、Observe(観察)、Orient(状況判断)、Decide(意思決定)、Act(実行)の 頭文字を取ったものであり、アメリカの軍事戦略家、ジョン・ボイドによって提唱されました。

「OODA(ウーダ)」という読み方は、ジョン・ボイド氏自らが「ウーダ」に決めたと 言われています。

彼は航空戦術の研究を通じて、戦場での先が読めない時に、状況の変化に敏感に対応し、 迅速な意思決定と行動を可能にするための意思決定プロセス「OODAループ理論」を 構築しました。

OODAは、1980年代以降に軍事戦略からビジネス戦略への応用が進み、プロジェクト マネジメントや企業の経営戦略においても活用されるようになりました。

OODAループとは?

OODAループは、OODAの4つのフェーズを繰り返すプロセスを意味します。

各フェーズの説明と合わせて、レストランを例にして実践的に考えてみましょう。

Observe(観察)

まずは現状を観察します。観察するというのは、つまりは情報を集めるということを指します。

ここで大切なのは、推測ではなく事実を集めるということです。

色々な情報を集めるには外部環境や内部環境、競合他社など周りを観察するようにしましょう。

レストランを例として考えると以下のような観察ができます。

<Observe(観察)の具体例>

  • 最近女性ひとりでの利用客が増えた(去年と比較すると、30%増えている)

  • 隣の駅に大学のキャンパスができた

  • 駅前に新しくヨガスタジオがオープンした

  • 今年からスイーツのメニューを毎月変更している

Orient(状況判断)

Observeで集めた情報をもとに、状況判断をするのがこのフェーズです。

ここはOODAループの中でも最も重要なステップだと言われています。

ここでの判断は、自分自身の経験や、社会の状況、文化的な背景などの材料と、 集めた情報を合わせて分析し、判断を行います。

レストランの例に沿って考えると以下のような状況判断ができます。

<Orient(状況判断)の具体例>

  • 女性がひとりでこの周辺にくる機会が何かしら増えているのかもしれない

  • 隣駅の大学は、女生徒が多いのかもしれない

  • ヨガスタジオのチラシをみると、30代女性をターゲットしたようなキャンペーンを している

  • スイーツをインスタグラムでタグ付けしてアップされることが増えたかもしれない

Decide(意思決定)

Orientで判断したことをもとに、具体的に何をするかを決めます。

Orientでは仮説をもとに方向性を定めているはずなので、それに対して考えられる アクションは一つとは限りません。

このフェーズで決める具体的なアクションは、サービスやチームにとっての行動となる ため、自分たちがどのようになっていきたいのかという目標やゴールを見据えて考えましょう。

また、考えられるアクションは全て書き出してみます。

その中から、ゴールに近づけて、且つ効果的だと考えられるものを決めていきます。

レストランの事例に当てはめてみましょう。

<Decide(意思決定)の具体例>

  • レストラン周辺の女性のペルソナを探ってみる(ゴール=近隣の人たちに愛される レストランになる)

  • ヨガスタジオに行って、ユーザー層などをヒアリングしてみる(ゴール=健康に こだわる人にも喜ばれるレシピ開発をする)

  • インスタグラムでスイーツに関するアンケートを実施する(ゴール=今人気が出ている ものを育ててレストランの独自性として強化する)

Act(実行)

OODAループの最終フェーズであり、Decideで決めたアクションプランを実践します。

この実行フェーズでは、柔軟に調整を行うことも必要です。

アクションプランを一度結果が出るまで遂行します。

実行の後には2週目の「Observe」に戻り、また観察を行います。

OODAループを行う時に重要なのは、その時々の結果に一喜一憂しないということです。

成功も失敗も2週目のOODAに活かすことができます。

1週目が思うような結果が出なくとも、切り替えて2週目を遂行していくことが大切です。

<Act(実行)の具体例>

  • 2週間、朝昼夜の時間帯に分けてレストラン周辺の複数地点で人間観察を行う

  • ヨガスタジオにアポイントメントを取る

  • インスタグラムのストーリーズでアンケートを取る

OODAとPDCAの違い

OODAはPDCAと似た4つのフェーズで構成され、それらを一つのサイクルとして、 行動し続けるフレームワークですが、それぞれ活用する目的が違うため、本来は 比較すべきものではありません。

適した場面で、OODAループとPDCAサイクルを使い分けることが大切なのです。

PDCAは、Plan(計画)、Do(実施)、Check(評価)、Act(改善)の頭文字を 取ったものです。

PDCAはプロセス改善のためのサイクルとして活用されます。例えば工場での生産効率 アップや、カスタマーサービスの品質向上など「決められた工程を、低コスト且つ高品質で 行い、生産性の改善を行う」というような場面に最適とされています。

そのため、そもそも工程が明確になっていなかったり、想定が立てにくくコロコロ 変わってしまうものに対してはあまり効果的ではないのです。

一方、OODAは意思決定をするためのフレームワークなので、先が読みづらく常に変化する 状況の中で、現状に起こっている情報をもとに最前の判断を下し、行動に移すことを 目的としています。

そのため、PDCAの「業務改善」という目的に対し、「事業を開発する」「お店の経営を 立て直す」などの明確な工程がないものに対して効果的なフレームワークが、OODAなのです。

このように、それぞれの利点と欠点を理解して、使い分けることが重要です。

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なぜ今OODAループが必要とされているのか

現代のビジネス環境は、複雑で不確実性が高く、急速な変化が常態化しています。

このビジネス環境というのは、競合の状況や市場だけを指しているわけではありません。

世界中を巻き込む新型コロナウイルスや異常気象、国際状況など、私たちの生活環境 そのものが目まぐるしく変化し、これまで経験したことがない何かが次々と起こる 可能性を含んでいると言えます。

そのため、顧客ニーズの変化を捉えたり、競合の動向、市場の変化、技術革新などに 臨機応変に、そして即座に対応する必要があり、OODAループが必要とされる場面 が圧倒的に増えているのです。

OODAループを活用すべき場面とは

OODAループを活用できる場面として、先の見通しが立てづらく変化が多いものに対しては 効果的だと言われています。

例えば、新しい市場への参入や製品開発、急務で事業の立て直しが求められている場面、 災害や危機管理、技術革新や市場の変化が激しい業界での競争に直面している場面などです。

実際、多くの場面でOODAループが役立つことは多くあります。

無意識的にすでにOODAループに似た思考プロセスで考えている場合もあると思います。

そのような場合、今一度OODAループに当てはめて整理してみることで、より体系的で、 再現性の高いフレームワークとしてチーム内などでも共通認識を持ちやすくなります。

OODAループのメリットとデメリット

OODAループのメリットとデメリットは表裏一体であり、OODAのスピード感とシンプル なやり方だからこそ生まれます。

メリットは、環境の変化に迅速に対応できること、組織全体の意思決定と行動の迅速化が 図れること、インタラクティブなプロセスで継続的な学習と改善が可能であることです。

一方、デメリットとしては、中長期的な課題改善や、定型作業の改善には適していないこと、 スピード感がある故に、情報が足りなかったり不正確さによって失敗するリスクが 高まってしまう場合があることが挙げられます。

ただし、OODAは一度やって終わりというものではなく、改善を重ねてOODAループを 繰り返し行っていくことで、リスクを減らし成果に近づけることができるため、一度の結果に 左右されずに継続して行うことが重要です。

OODAループを導入することで期待できる効果

OODAループをチームで導入することによって期待できることは、OODAループの 実践成果の他に、「状況観察の力」をチーム全体で鍛えられるということです。

OODAループのスタート地点は「観察」から始まります。

そのため、OODAループの思考を繰り返すことで観察力が高まり、今何が起こっている のかを瞬時に正確に捉え、その状況に合わせた判断力が高まります。

これはOODAループの副産物として、チーム全体のスキルを高めることにも役立つはずです。

OODAループを組織で効果的に運用する方法

OODAループを組織で取り組んでいく際には、各フェーズの内容を最新の状態でチーム間で 共有することが必須です。

そのため、オンラインツールを活用することで、チームでの共同作業やOODAループを 遂行する上でのコミュニケーションを円滑に進めることが可能になります。

OODAループの内容を可視化し、チーム全体で共有することで、迅速な意思決定と行動を 促進することができます。

また、OODAループは4つのフェーズを繰り返し行っていくことに意味があります。

そのため、一つのボード上に1週目、2週目と、膨大な情報をまとめていくことができ、 いつでも昔の情報に簡単にアクセスすることができることも魅力的です。

OODAループを成功させるコツ

OODAループの4つのフェーズの中で、「Orient(状況判断)」が一番大切だとお伝えしました。

このOrientのフェーズでの状況判断は、データなどの分かりやすい根拠だけではなく、 個人的な経験に基づいて判断をする必要があります。

そのため「過去の成功体験・失敗事例をどれくらい知っているか」ということが、 判断できる幅を大きく左右します。

経験則となると、キャリアの年数が高い方がより精度高く良い判断ができると思われがち ですが、情報共有のやり方を工夫することで、若手や経験値がまだ足りないメンバーでも、 いち早く高いレベルで状況判断ができるようチャンスを与えることができるのです。

具体的な方法として2点考えられます。

これまでのOODAループの結果を分かりやすく蓄積し、常にチームにオープンにしておく

OODAループの欠点になり得るのは、これまでの結果が属人的にしかわからない場合、 成果が見えづらいということです。

そのようなことを防ぐためにも、Miroを活用することで、この情報共有も簡単に行うことが できます。

さらに、共同編集もできるため、常にOODAループを実践する当事者が、どこにいても 編集を加え、アップデートすることが可能です。

ナレッジ共有に役立つツールはこちら →

自分自身のユーザー体験を言語化してみる

自分自身がいちユーザーとして色々なサービスを体験していることについて、 Observe(観察)とOrient(状況判断)をしてみることは、OODAループの練習になります。

例えば、忙しい日にランチを食べるタイミングを逃してお腹が空いているとします。

この状況観察はObserveです。その時に何が選択肢として出てくるでしょうか?

近くのコンビニ、どこかのファストフード、宅配フードを頼むなどもあり得ます。 そのような次の選択はOrient(状況判断)になるのです。

この時の、いちユーザーとしての素直な気持ちが、自社のサービスやビジネスを分析する ときに役立ってくるのです。

いくら美味しいものを提供していたとしても、利便性や価格で競合に劣っている可能性が あったり、その情報に辿り着く方法がなさすぎるという課題が見つかるかもしれません。

このような一連の体験を、日頃から言語化する練習をすることで、実際にOODAループを 実行する際に大きな助けとなります。

まとめ

OODAループを活用することは、変化が激しい現社会でビジネスを成功させるためには 必要不可欠になっています。

ビジネスを成功に向けて加速させるためにも、PDCAとOODAをうまく使い分けながら、 最適な場面でOODAループも日常的に活用していけるよう、ぜひ取り組んでみましょう。

OODAループの計画にはMiroがおすすめ

オンラインワークスペースであるMiroでは便利なツールや無料のテンプレートを

活用して、いつでもOODAループの計画ができます。

また、OODAループだけでなく、PDCAサイクルやカスタマージャーニーマップ、 指標の設定、タスクの管理・共有に役立つテンプレートや機能も多数そろっているため、 すべてのプロセスを1つのオンラインツールだけで完結することができます。

今後のワークフローにぜひMiroをご検討ください。

以下のリンクから製品ページをご確認いただけます。

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Miro はチームで課題を解決し、新しいアイデアを発見するための「ワークスペース」です。
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