自社ビジネスの未来を客観的に判断できるPPM分析とは?
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自社ビジネスの未来を客観的に判断できるPPM分析とは?

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自社の事業やサービスが、世の中に置いてどのような状況に置かれているのかということを 知るために、どのような方法があるでしょうか?

市場の動向や競合他社の状況を把握した上で、自社の今後の方向性を判断するために、最適な 分析方法を選ぶ必要があります。

その手法のひとつに、マーケティングの基本的なフレームワークとして知られる「PPM分析」 があります。

PPM分析は有名な企業も多く取り入れている手法で、任天堂、キヤノン、ソニーなどの事例を オンラインで調べてみることも良いでしょう。

ここでは、PPM分析の概要、メリットやデメリット、具体的なやり方について見ていきましょう。

記事の最後にはPMM分析や他のマーケティングフレームワークの作成に役立つオンライン ツールやテンプレートもご紹介しているのでぜひご確認ください。

それではPPM分析について見ていきましょう。

PPM分析とは?

PPM分析は、Product Portfolio Managementの略で、1970年代にボストン・コンサル ティング・グループ(BCG)が提唱しました。

自社の事業や製品・サービスを市場成長率と市場占有率の二軸で評価し、最適な経営資源の 投資配分を決定するための有名なワークフレームです。

この分析では、事業や製品を「花形」「金のなる木」「問題児」「負け犬」の4つのカテゴリーに 分類します。

PPM分析を活用することで、自社の事業や製品・サービスが市場においてどの位置にあるかを 把握し、適切な投資判断を行うことができるのです。

市場の変化が激しい現代において、売上を伸ばすためには、事業に対する適切な経営資本の 分配が重要です。

この手法は、わかりやすく戦略的な意思決定をサポートするため、現在でも世界中で広く利用されています。

PPM分析の4つのカテゴリーの意味

PPM分析では、市場がどれほどのペースで成長しているかを示す市場成長率と、市場のなかで どれだけのシェアを持っているかを示す市場占有率の二つの軸にもとづいて、以下の4つの カテゴリーに区分を分けて、自社の事業や製品・サービスを分類し分析します。

  1. 花形(Star)

  2. 金の生る木(Cash Cow)

  3. 問題児(Problem Child)

  4. 負け犬(Dog)

それぞれの意味について、詳しく解説します。

1. 花形(Star)

「花形(Star)」は、市場成長率と市場占有率がともに高い事業や製品を指します。

このカテゴリーに属する事業は、競争が激しいというハードルはありますが、同時に将来的に 大きな利益を生む可能性を秘めています。

市場全体が成長しているため、積極的な投資が必要ですが、それに見合ったリターンが 期待できます。

例えば、世の中でも次々と新しいものが生まれているようなソフトウェアやサブスクリ プションサービスなどの分野が該当します。

競争に打ち勝つためには、継続的かつ戦略的な投資が求められ、これにより他の競合からの 市場シェアを守り、さらなる成長を目指すことができます。

2. 金の生る木(Cash Cow)

「金のなる木(Cash Cow)」は、市場成長率が低いものの、市場占有率が高い事業や製品を 指します。

このカテゴリーの事業は安定した収益を生み出し、少額の投資で運営が可能です。企業に とっては、「顔となる事業」「軸となる事業」と言い換えられるでしょう。

具体的には、電気、ガス、鉄道などのインフラ関連事業や、競合と比較して高いブランド力や 優位性を持っている事業が金のなる木に分類されます。

これらの事業は安定した収益をもたらし、企業の他の成長分野への投資を支える重要な資金源となります。

3. 問題児(Problem Child)

「問題児(Problem Child)」は、市場成長率が高いにもかかわらず、市場占有率が低い事業や 製品を指します。

このカテゴリーは成長の可能性がある一方で、現時点では安定した利益を出しにくい状態です。

市場での競争が激しいため、積極的な投資が求められますが、将来的に「花形」や「金の なる木」に成長する可能性を秘めています。

具体的な例としては、SaaSやネット証券などが挙げられます。これらの事業に対しては、 他の収益性の高い事業から資金を振り分け、成長機会を最大限に活用することが重要です。

4. 負け犬(Dog)

「負け犬(Dog)」は、市場成長率も市場占有率も低い事業や製品を指します。

このカテゴリーは利益を生む可能性が低く、経営資源の投入も効果が薄いです。

市場の変化や競争の激化により、事業の成長が見込めないため、撤退や資源の再配分を 検討すべき分野です。

こうした事業は、早期に整理し、その資源を「花形」や「問題児」に再投資することで、 企業全体の成長を促進することが理想的です。

PPM分析を実施する目的とは?

PPM分析を実施する目的は、自社の事業や製品・サービスの市場におけるポジションを 把握し、限られた経営資源を効率的に分配することです。

市場成長率と市場占有率の二軸を用いることで、各事業の現在の位置づけと将来の潜在力を 明確にします。自社の経営戦略を考える際に、客観的な分析資料として活用することができます。

PPM分析のメリットとデメリットとは?

PPM分析にはメリットだけでなくデメリットもあります。PPM分析は財務指標だけで分析を 行うため、事業の多様な側面を考慮に含めることは難しいとされています。

そのため、数値の結果が見え難いとされる新規事業やイノベーション系の事業には注意が 必要な場合があります。その点を詳しく確認しましょう。

PPM分析のメリット

自社の事業を客観的に評価できる

PPM分析では、「市場成長率」と「市場占有率」の二軸を用いて自社の事業を評価します。

この手法により、事業の現状と将来性を客観的に把握することが可能です。

これにより、成長の余地がある事業に対する投資判断が合理的に行えます。

例えば、成長の見込みがある赤字事業に投資を継続し、将来の可能性を追求する一方で、 成長が見込めない事業からは撤退するというような決断をサポートしてくれます。

将来を見据えた投資判断ができる

PPM分析により、事業の将来性を評価することで、長期的な投資判断がしやすくなります。

市場成長率が高く、将来性がある事業には積極的な投資を行い、成長機会を逃さないように する一方で、市場規模が縮小する事業についてはコスト削減や撤退を検討することで、 不必要なコストを削減し、企業全体の収益性を向上させることができます。

事業判断のミスを防げる

PPM分析は、各事業の市場でのポジションと将来性を明確にするため、重要な経営判断の ヒントを提供します。

市場成長率と市場占有率の分析に基づいて、どの事業に経営資源を重点的に投入するか、 あるいは撤退するかを判断できます。

この情報は、企業の資源を最適に配分し、ROIを最大化するための基盤となります。

PPM分析のデメリット

イノベーションによって覆される可能性がある

PPM分析は既存の市場環境に基づいて事業を分類しますが、市場の変化や技術革新によって 前提が覆される可能性があります。

例えば、急激な技術進歩により「金のなる木」事業が突如として競争力を失うことがあり、 このような変化に対する対応が難しいという欠点があります。

事業間のシナジーを考慮できない

PPM分析は個別の事業を評価するため、複数事業間のシナジー効果を考慮することが できません。

例えば、単体では「負け犬」事業でも、他の事業との相乗効果によって企業全体にとって 重要な役割を果たしている場合、その価値が分析に反映されないため、誤った経営判断を 下すリスクもゼロではありません。この点は慎重に行うべきでしょう。

新規事業の評価が難しい

PPM分析は既存事業の評価に適している一方で、新規事業の評価には適していません。

市場成長率と市場占有率という既存の指標に基づくため、新規事業の潜在的な価値や 成長機会を見逃す可能性があります。

このため、新規事業に対する投資判断には別の分析手法が必要となります。

PPM分析のやり方とは?

PPM分析は以下の4ステップで行います。

Step 1:市場成長率を計算する

市場成長率の計算は、PPM分析の初めのステップです。このステップでは、特定の市場の規模が どれだけ成長しているかを測定します。

市場成長率は次の式で算出できます:

市場成長率=(当期の市場規模-前期の市場規模)÷前期の市場規模

​ここで活用する成長率のデータは、経済産業省や業界団体、公的機関、調査会社から得る ことができます。

これらの機関が提供するデータは信頼性が高く、市場規模の正確な把握に役立ちます。

市場成長率を把握することで、その市場が拡大しているか縮小しているかを理解でき、 今後の市場動向を予測する基礎となります。

Step 2:市場占有率を計算する

市場占有率(マーケットシェア)は、特定の事業や製品が市場全体に対してどの程度の シェアを持っているかを示します。

市場占有率は次の式で計算されます:

市場占有率=自社の売上高÷市場規模

このようにして算出された市場占有率は、自社の市場内での競争力や存在感を示す重要な 指標となります。

また、競合他社の市場占有率も計算することで、相対的な位置関係を理解しやすくなります。

上場企業の売上データは有価証券報告書から取得でき、中小企業の場合は採用ページなどの 公開情報を利用します。

Step 3:自社の立ち位置を確認する

市場成長率と市場占有率を計算した後は、これらのデータを基に自社の事業の立ち位置を 確認します。

このステップでは、PPM分析の座標に各事業をプロットします。市場成長率を縦軸、 市場占有率を横軸に取り、各事業をバブル(円)で表現します。

バブルの大きさは、事業の売上高や利益額を反映させることで、異なる事業の重要性を 一目で把握できるようにします。

このプロット作業により、自社の各事業が「花形」「金の成る木」「問題児」「負け犬」のどの カテゴリーに属するかを視覚的に確認できます。

これにより、資源配分や戦略立案において、どの事業に重点を置くべきか、または改善が 必要な事業はどれかを明確にできるのです。

Step4:競合他社の立ち位置を確認する

最後のステップでは、競合他社の事業の立ち位置も確認します。

これは、自社の立ち位置を明確にした後に行うことで、競合との比較がしやすくなります。

競合他社の市場成長率と市場占有率を同じ座標上にプロットし、同様にバブルで表現します。

このプロセスにより、自社の事業が市場内でどのようなポジションにあるのか、競合他社と 比較してどれほどの競争力を持っているのかを把握できます。

競合分析を含めたPPM分析は、戦略的意思決定において重要な役割を果たします。

競合他社の動向を把握することで、自社の強みと弱みをより明確にし、効果的な戦略を 立案できます。

これにより、市場での競争優位を確立し、持続可能な成長を実現するための有力なツールと なります。

PPM分析の応用活用とは

PPM分析は、多くの企業が経営戦略を立てる際に利用する重要なフレームワークですが、 それだけでは限界もあります。

他のフレームワークと組み合わせることで、より多角的な分析が可能になります。

ここでは、PPM分析と組み合わせることで効果を発揮する4つのフレームワークを紹介します。

SWOT分析

SWOT分析は内外の要因を総合的に評価し、事業の成長戦略や改善点を把握します。製品の「花形」属性が実際に強みや機会を最大限に活かしているかを検証します。

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3C分析

3C分析は顧客ニーズや競合状況を考慮し、市場での実際の競争力を評価します。

PPM分析で評価された事業でも、顧客満足度や競合優位性が低ければ戦略見直しが必要です。

4P分析

マーケティングミックス(4P分析)は製品の市場位置を確認し、販売戦略を詳細に検討します。

具体的な施策を策定するための基礎を提供します。

ファイブフォース分析

ファイブフォース分析は外部環境の競争力を評価し、戦略的な意思決定を支援します。

事業の市場ポジションと成長戦略を多角的に捉えます。

これらのフレームワークをPPM分析と組み合わせることで、経営戦略の立案がより精緻化され、 多角的な視点から事業のポジショニングと成長戦略を策定することができます。

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