効果的なサービス ブループリントの作り方
概要
サービス ブループリントは、実際のサービス体験において関係者、プロセス、タッチポイントがどのように相互に関わっているかを可視化します。チームが非効率性を特定し、部門間の連携を促進し、顧客と従業員の体験をより効果的に設計するのに役立ちます。
このガイドでは、次の内容を紹介します。
- サービス ブループリントの明確な定義
- 作成に適したタイミング
- ブループリントの必須要素
- チームで作る際の実践的なヒント
- 自社で応用できる実例
サービス ブループリントの作り方と例
新しい職場での初日を仮定してみます。会社の製品やサービスを求める顧客からのリクエストが届いた場合、スムーズに要求に応えることができるのが望ましい形です。
しかし、必要なツールやプロセスを掘り下げると、現実が見えてきます。しかし、必要なツールやプロセスを掘り下げると、現実が見えてきます。1 つのタスクを完了するには、複数の種類のシステムを経由し、少なくとも6 つの異なる部署と連携する必要があることが分かります。
一人ではありません—約3分の2の知識労働者が、サイロ化や保守業務が組織の勢いを停滞させていると答えています。
いつの間にか日々の仕事は複雑で時間がかかるようになり、必要のない細かな作業で溢れてしまいます。サービス ブループリントは、このような状況に陥ったときに、前進する道筋を描く助けとなります。その目的は、仕事を進める上での見えない課題に光を当て、解決を支えることにあります。
サービス ブループリントの作り方続きを読むと分かります。
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サービス ブループリントとは?
サービス ブループリントは、顧客が体験することから、その実現を支える裏側の運用まで、サービスが実際にどのように機能しているかを可視化したマップです。顧客ジャーニーを形づくる関係者、プロセス、そしてデジタルと物理のタッチポイントを結びつけます。
サービス ブループリントは、顧客の行動、顧客が目にするフロントステージでの従業員のやり取り、顧客には見えないバックステージのプロセス、そしてそれらを支えるシステムなど、サービス体験のあらゆるレイヤーを同時に可視化する詳細な運用マップです。
カスタマージャーニーマップが顧客の視点や感情面の体験に焦点を当てるのに対し、サービスブループリントは体験の背後にある組織全体の仕組みを可視化します。すべてを1ページにまとめることで、ブループリントはパターンを明確にします。何がうまく機能しているか、どこで部門の縦割りが障害になっているか、そして顧客や従業員の体験をどのように改善できるかが明確になります。
サービス ブループリントは、ビジネス環境において、さまざまな人やテクノロジーが連携する方法(場合によっては連携できていない理由)について、その多層性を明らかにするために設計されています。
例えば、ホテルのチェックインを例に挙げると、チェックインプロセスのサービス体験全体をマップすることもできます。

すべてのサービス ブループリントには、次の項目がマッピングされます
- 特定のカスタマージャーニーの段階的な工程
- チャネルベースのタッチポイントをひとつずつ
- さまざまな関係者やアクションについてのバックステージ プロセス
顧客のために製品やサービスを開発する複数の関連部門に共通理解が生まれれば、サービス ブループリントがその役割を果たしていることになります。
サービス ブループリントを作成する場面
サービス ブループリントは、チームが一緒に作成する便利なツールです。しかし、どのような場合に作るべきでしょうか?サービス ブループリントの最も一般的な使用例は次のとおりです。
- 多くの部門が 1 つの顧客サービス体験に関わる場合
- 自社の主要プロセスが利用者中心のものとなっているか確認したい場合
- 顧客体験を向上させるためにサービス改善が必要な場合
- サービスの変更や再設計が必要な場合
- ハイタッチからロータッチのサービスへ移行する場合(例:利用者数が少ない、新しい費用対効果の高いモデルを設計したい場合)
サービス ブループリントの利点
サービス ブループリントは、時間と費用のかかるプロセスになることがあります。しかし、計画的に作成すれば、顧客との関係を変えることができます。また、組織全体の関係者やチームをまとめる手段にもなります。
研究がこれを裏付けています。業界横断でNN/gによる97名の実務者を対象とした調査では、サービス ブループリントが部門間で共通の言語と一元的な情報源を作ることに最も価値があり、チームが共通の目標で連携しサイロ化を回避するのに役立つことが示されました。
「これは戦略的なツールであり、集団的共感ツールです」と語るのは、ニューサウスウェールズ州政府の顧客サービス部門でサービス企画上級担当者を務めるキンバリー・リチャーズ氏です。
リチャーズ氏はさらに「組織や使用技術のマッピングだけでなく、多くのことを行うことができるツール」とし「認識合わせや情報把握のためにも使っている」と加えています。
目の前のタスクに困難を感じても、サービス ブループリントを利用すると次のような重要な利点があります。
- 顧客視点を持つことの重要性を社員に再認識させます:「自分はこれをやる」という従業員の考え方を、より大きなプロセス(『自分の行動が周囲にどのような影響を与えるか』)の一部として結びつけます。
- 継続的な改善の機会を見出す:マップに基づく図は、プロセス改善の基盤となる弱点や問題点を浮き彫りにできます。
- サービス設計の意思決定に役立ちます:従業員と顧客の共有接点を明確にし、顧客が価値を感じるポイントを示します。
- サービス設計に対する合理的なアプローチを促します:可視性に基づくマッピングにより、顧客が目にするべきことや従業員が顧客とどのように関わるかについて、常識的な判断ができます。
- コストと非効率性の可視化:どのプロセスがサービスの重複を生んでいるかを明らかにすることで、収益の発生源を把握し、効率化やコスト削減策を提案できます。
- マーケティングメッセージの一貫性を保ちます:社内チームや代理店が主要な顧客タッチポイントを明確に把握できるようにし、メッセージの一貫性を保ちます。
- コミュニケーションの強化:管理職と現場担当者が知見を共有し、サービス改善に向けて共に取り組むことを促します。
顧客インタビューが顧客体験を強化する事例をご覧ください。
自分で作成する方法
サービス ブループリントは、簡単なスケッチから詳細なビジュアル マップまでさまざまです。内部では共通認識を形成するために、外部向けには経営陣の賛同を得るために活用できます。
はじめに、テンプレートを使用してキャンバスを作成し、サービス ブループリントの重要な要素を把握しましょう。
サービス ブループリントの要素
サービス ブループリントを作成する際に必要なパズルのピースを 4 つご紹介します。
- 顧客のアクション: すでにカスタマージャーニー マップを作成していれば、顧客が目標に到達するまでのステップ、選択、アクティビティー、インタラクションを抽出することができます。
- フロントステージでのアクション:これらのアクションは顧客の目の前で起こります。これは通常、人間同士(例えばレジで従業員とやりとりする顧客)または人間対コンピューター(例えば ATM で取引する顧客)のいずれかです。
- バックステージでのアクション:フロントステージのアクティビティーを支えるバックでのアクティビティーで、裏方の従業員(厨房の料理長など)が担う場合と、フロントステージの従業員が顧客には見えない仕事(テーブルに向かう前に会計をプリントアウトするなど)をこなす場合があります。
- サポートプロセス:これらは、顧客にサービスを提供する際に従業員をサポートする一連の手順やインタラクションです。
- 物的証拠:インタラクションが実際に起こったという証拠です。例えば、商品そのもの、購入証明となるレシート、実店舗、ウェブサイトなどです。
また、サービス ブループリントには 3 つの重要なラインがあります:
- インタラクションのライン:顧客と会社の間の直接的なやり取り。
- 視認性のライン:顧客にとって見えるものと見えないものを分けるもので、見えるものはすべてラインより上にあり、バックステージのものはすべてラインより下にあります。
- 内部のインタラクションのライン:顧客と直接接触する従業員と、顧客と直接やり取りをしない従業員を分けます。
ブループリントを作成する組織の状況や事業目標によっては、次の項目を追加することも考えられます。
- タイミング:時間ベースのサービスを提供している場合は、各アクションにかかる時間を記録しておく必要があります。
- 規約と規制:顧客体験を最適化する際に、変更可能なものと変更できないものを定める、主に法令による規定を指します。
- 感情:プロセスを通して従業員や顧客がどのように感じているかを理解することで、ペインポイントを特定することができます。
- 指標:合意を取り付けることが最終的な目標であれば、こうした指標が必要です。あらゆるデータを収集し、コミュニケーション ミスやその他の非効率な業務方法による時間とコストの浪費を視覚的に表します。
コラボレーションにより、共通の理解を得やすくなり、サービスプロセスがスムーズになります。異なる部門が互いの責任や課題を把握し、互いの成果物にどのような影響を与えているかを理解できます。
サービス ブループリントを共同で作成すると、サービス提供部門は、サービス関連のロードマップのみならず、サービスプロセスに関与する各部門が合意したアクションプランを作成することができます。
サービス ブループリント作成のヒント
複雑な組織や、影響力あるグローバルな仕事のブループリントを作成する場合、キンバリー・リチャーズ氏は次のようなヒントを提示しています。
1.ブループリントの使い道と対象者を明確に
リチャーズ氏は次のように話しています。「誰も使わないようなものは作りたくないでしょう。チームがブループリントの作成に専念しているのは、社内の仕事をしやすくするためです。
このマップを作った結果、無数のフォルダーや共有ドライブを探し回り、迷子になることもなくなります。ブループリントの目的は、できるだけ早く、簡単に仕事ができるようにすることです。」
職場や組織が新たな環境で活動している今、サービス ブループリントは現在と過去の違いを可視化するのに役立ちます。
例えば、ほとんどのオフィスはコロナ禍を想定して設計されていません。また、ほとんどの現場の従業員は、自身と顧客の安全を守るための衛生や健康・安全基準への高い意識にまだ順応している段階にあります。
事業主のサービス ブループリント活用方法
- 顧客への新しい提供方法に迅速に移行する際に、実際に必要なプロセスと作業を明確にする例えば、車寄せでの受け取りや複数の地域にわたる週1回の宅配サービスなど
- 段階的な再開に向けたフェーズ別の計画を策定します。初期段階の後、規制が緩和されたり再導入されたりする場合に、第2、第3、第4フェーズ以降がどのようになるかを検討します。
- 望ましくない結果を避けるために、複数のシナリオを検討します。例えば、限られたスペースでは収容人数を減らす、営業時間中は来客の動線を管理するなどです。
現場で働く人々のサービスブループリント活用方法
- 顧客の期待と従業員の対応基準を整合させます。例えば、顧客とのやり取りごとにテーブルの拭き取り・消毒にかかる時間を測定します。
経営層のサービスブループリント活用方法
- 上層部の経営陣に向けて、事業運営と顧客体験の変化を可視化します。新しい安全対策や予防措置は、顧客体験の時間を全体的に長引かせるため、こうした新しい現実を組織全体で明らかにする必要があります。
2.簡易版を作り、大規模版への賛同を獲得
小さなものから始めて、社内でのブループリントの価値を実証しましょう。リチャーズ氏は次のように述べます。「ブループリントがどういうものかを理解してもらえれば、徐々に合意を得られるようになります。」
後でつなぎ合わせて長いものにできる、小規模な複数のブループリントを作成してみましょう。これにより、オンボーディングとオフボーディングのような、全く接点がなく、相互作用することのないプロセスがあることを特定できます。
3.共同でブループリントを作成する
ブループリントは共同で作るのが一番です。「私の役割では、一連の出来事について時系列でグループに質問することが多いのです」とリチャーズ氏は言います。
顧客フローを理解し、社内の部門間の知識のずれを特定するためにも、グループは重要です。確認点は以下のとおりです。
- 技術から特定部門の責任者に至るまで、全社の部門から代表者を集め、各部門の業務について話してもらいます。
- プロセスの各段階をあらゆるレベルで調査します。例えば、エンジニアにとってこのステップはどのように見えるのか?顧客サービス担当者には?役員にはどうか?
- その場にいる全員に、「顧客に与える影響について、あなたの意見は?」と尋ねます。
- 全員一致で同意し、認識が合った場合に文書化します。
- 矛盾や誤解が生じた場合には、顧客の再ターゲットや再開拓、リサーチ、必要な情報を持っている社内の人間の再特定などを行います。
解決策ではなく、現状に焦点
サービス ブループリントは、動いている組織のスナップショットのようなものです。次に何を設計するかを考える前に、現状の仕組みを理解しておく必要があります。私たちは解決を優先して考えがちです。しかし実際は、現状を把握することが重要なのです。
ブループリントは、すべての階層を網羅する、ある地点の組織の姿です。関係者の合意なしには前進できません。全社的な変革を実現するには、認識を合わせる必要があります。
現実的には、顧客とのジャーニーは、全工程を終えるまで数十年以上続くことがあります。そのためリチャーズ氏は、ブループリント プロジェクトを開始する際に、ブループリントの開始点と終了点を把握するためのスコーピングやワークショップの実施を推奨しています。
サービス ブループリントの例
サービス ブループリントの仕組みがわかったところで、次は自分でブループリントを作ってみましょう。サービス ブループリントは、レストランやホテル、銀行、病院など、あらゆるサービス業に応用できます。簡単な例をいくつかご紹介します。
1.飲食店のサービス ブループリント
飲食店では、持ち帰りと店内飲食でプロセスが異なります。いずれにせよ、一貫性のあるスムーズな体験が利用者にとって重要です。

2.銀行のサービス ブループリント
金融業界では、ネットバンキングアプリや電話などの非対面の接点を通じて、顧客が金融機関とやり取りする機会が増えています。

3.病院のサービス ブループリント
病院では、患者は強いストレスや不安を抱えている可能性があります。つまり、病院の利用者が直面するあらゆるステップやプロセスは、利用しやすさ、わかりやすさ、安心感を備えるよう設計されていなければなりません。

サービス ブループリントの活用事例
保険会社は、部署間の縦割りや老朽化したシステムにより顧客対応が遅くなるという課題に直面することが多いです。この課題に対処するため、デジタルエージェンシーの Pancentric Digital は Miro を活用して保険会社 Jelf のアプローチを再検討するのを支援しました。
Pancentric は従業員と顧客を対象にワークショップを実施し、Miro を使ってペルソナ、カスタマージャーニー、顧客の課題や新規のアイデアを可視化しました。その後、サービス ブループリントを作成し、関係者にサービス体験の全体像と今後のデジタルプロジェクト向けのロードマップを明確に示しました。
「まず第一に、クライアントが自社の顧客をより深く理解し、顧客にとって何が重要かを把握できるよう支援します。」これは基本です。企業が将来のサービスをどのようにするかについて有意義な判断を下す前に、まず顧客が何を必要としているか、そして現在どの程度満たされているかを理解する必要があります。」
Matt Corrall(Pancentric Digital、デザインディレクター)
その結果、レスポンシブ対応の新しいコーポレートサイト、ナビゲーションの最適化、製品カテゴリの明確化、そしてデジタル変革に向けた強固な基盤が整いました。
ぜひお試しください
さまざまな業界のサービス ブループリントの例を見ていただきましたが、今度はご自身でブループリントを作成してみてください。こちらの無料のサービス ブループリント テンプレートをご利用いただくか、Miro の実際のチームが作成したテンプレート 2 件もご覧ください。
リモートでのコラボレーションについてもっと知りたい場合は、まずはガイドの第1章からご覧ください。
ナタニア・ギルソン、寄稿ライター
ナタニア・ギルソンはメルボルン在住のライター兼編集者。インタラクティブなストーリーテリング、利用者の考え方やインタラクションの仕方を改善する製品の構築、社会貢献や社会啓発のためのツール開発が関心分野です。
サービス ブループリントのよくある質問
サービスブループリントとカスタマージャーニーマップの違いは何ですか?
ジャーニーマップは、顧客の視点から体験を示す図です。サービス ブループリントは、その顧客ジャーニーを実現する舞台裏のプロセス、関係者、システムを明らかにします。フロントステージとバックステージの両方の視点が得られます。
サービスブループリントとジャーニーマップの使い分け
顧客の体験(各段階における動機や課題)を理解したいときは、ジャーニーマップを使用します。その体験を生み出している(または損なっている)運用上の要因(従業員の行動、バックステージのプロセス、および関係するシステム)を理解したいときは、サービス ブループリントを使用します。実務では、サービス ブループリントはジャーニーマップの上に構築されます。顧客のジャーニーがブループリントの横方向の構造を定義し、運用レイヤーはその下にマッピングされます。
Miro はサービス ブループリント作成をどのようにサポートしますか?
Miro は無限のキャンバスと、サービスを視覚的にマップするための既製テンプレートを提供します。リアルタイムまたは非同期で共同作業ができ、付箋で洞察を整理し、インテグレーションで全体を連携できます。これにより、チーム間で共有できる単一の信頼できる情報源が得られます。
Miroはサービス ブループリント作業のセキュリティを確保していますか?
はい。Miro はお客様のデータを保護するエンタープライズグレードのセキュリティーを提供します。高度なユーザーアクセス管理の機能により、誰が何を閲覧できるかを設定できます。チームの機密性の高いサービスプランが安全に保護されていることが確認できるので、安心して新しい取り組みを進められます。
Miro AI を使ってブループリント作成を高速化できますか?
もちろんです。Miro AI は、調査結果を分類し、顧客フィードバックを要約し、タッチポイント全体にわたるパターンを示唆できます。そうすることで、入力の整理にかける時間を減らし、解決策の改善により多くの時間を割けます。
作成者:Miro チーム
最終更新日:2026年6月15日