クラウド移行を成功させる 7 つのステップ

今、企業の半数以上がクラウド インフラストラクチャーを利用しており、その 63% が移行を急いでいることから、クラウド コンピューティングは現代ビジネスにおける中核技術となっています。 

しかし、クラウドにはコスト削減、パフォーマンス向上、セキュリティ強化などの面で、オンプレミスを凌駕する注目すべき利点が多数存在するのに対し、移行という実際のプロセスが、多くの組織にとって大きなハードルとなっています。 

以下では、クラウドへの移行に伴う負担を軽減し、クラウド導入を効率化し、組織全体でクラウドのメリットをより早く享受するための戦略とヒントをご紹介します。

クラウド移行とは? 

クラウド移行とは、組織のデジタル資産、アプリケーション、データの一部または全部を、オンプレミスのデータベースや別のクラウド環境から新しいクラウド コンピューティング プラットフォームに移行するプロセスです。

このプロセスでは、企業の IT ポートフォリオ全体を完全に移行する場合も、ターゲットを絞って部分的に移行する場合もあります。この移行の範囲は、オンプレミスからクラウドへ移行する際、あるいはクラウドプロバイダー間で移行する際の、根本的な目標や理由によって異なります。 

では、何種類かのシナリオを取り上げて、それらのプランニング方法を見てみましょう。 

クラウド移行における 6 つの R 

クラウド移行の 6 つの R とは、企業がアプリケーションとワークロードをクラウドに移行する最適なアプローチを選ぶのに有効な 6 つのシナリオを挙げたものです。これらのシナリオは、それぞれが組織固有のニーズ、技術要件、目標に合わせて設定されている戦略です。 

これらは以下から構成されています。

  1. リホスト(リフト & シフト)。アプリケーションへの変更を最小限に留めてクラウドに移行します。このアプローチでは、機能には変更を加えず、オンプレミスのコストを即座に削減できます。
  2. リプラットフォーム(リフト、ティンカー & シフト)。移行中は全面的な再構築ではなく、小規模な最適化を行って、パフォーマンスを向上させます。
  3. リパーチェス(ドロップ & ショップ)。保守しにくいレガシーシステムを移行するのではなく、既存アプリケーションをクラウドネイティブのバージョンか SaaS のバージョンに置き換えます。 
  4. リファクター(再構築)。クラウド機能を最大限に活用し、パフォーマンスとスケーラビリティを最適化できるよう、ミッションクリティカルなアプリケーションを書き換えます。 
  5. リタイア。移行の代わりに冗長なアプリケーションや不要なアプリケーションを廃止して、簡素化とコスト削減を実現します。 
  6. リテイン(再検討)。コンプライアンスやインテグレーションの要件を考慮して、特定のアプリケーションをオンプレミスに残し、必要に応じて後から移行します。 

IT チームは、クラウド移行プロジェクトをこれらの観点から検討することで、それぞれのアプリケーションに最適な移行アプローチを決めることができます。 

7 つのステップでクラウドに移行する方法

プロジェクトの範囲は行うクラウド移行の種類で決まりますが、クラウド移行のプロセスでは、6 つの R のどれを選んだ場合でも、次の 7 つの重要なステップを実施する必要があります。 

1.移行範囲と目的の定義 

コスト削減やスケーラビリティの向上など、移行の背景にあるビジネス目標を特定します。次に、現在のインフラストラクチャ、アプリケーション、データを評価し、移行するもの、オンプレミスに残すもの、廃止するものを決定します。

2.移行プランの策定

6 つの R に基づいて最適な移行戦略を選びます。タイムラインと予算を設定し、具体的なタスクを割り当てます。ニーズに合ったクラウドプロバイダーを調べ、主要なステークホルダーに協力を求めます。パフォーマンスのベンチマークと QA プランを設定し、本稼働前にテストを実施します。

3.クラウド アーキテクチャーのデザイン 

コンピューティング、ストレージ、データベース要件などの移行ニーズに基づいて、クラウドサービスを選択します。ネットワーク アーキテクチャ(サブネット、VPN、ロードバランサー)を定義し、セキュリティ、オートスケーリング、ディザスタリカバリを設定してスケーラビリティとレジリエンスを確保します。

4.データとアプリケーションの移行

適切なツールと方法を使用してデータとアプリケーションを転送し、データの整合性とダウンタイムの最小化を保証します。

5.テストと検証

アプリケーションの機能性、パフォーマンス、セキュリティー、アクセシビリティーをテストします。必要に応じてクラウド環境を調整し、リソースの使用量とパフォーマンスを最適化します。

6.カットオーバーと本稼働 

トラフィックを新しいクラウド環境にリダイレクトし、すべてのオペレーションを移動することで移行を完了させます。

7.移行後の監視、サポート、最適化

クラウド環境のパフォーマンス、リソース使用量、コストを監視します。また、クラウドの有効活用に向けたベストプラクティスの導入やスタッフ研修を行う一方、設定を定期的に見直し、最適化します。

クラウド移行を効率化するツール

クラウド移行戦略を成功させるには、ステークホルダーとの効果的なコラボレーション、詳細なプロジェクト プランニング、移行プロセスの主な作業工程の効率化を助けてくれる、適切なツールが欠かせません。 

プロジェクトのキックオフと調整

移行の初期段階では、担当するスコープとプロジェクト目標をチーム全体で定義する必要があります。Miro が特にその効果を発揮するのは、初期の評価と目標設定の段階です。共用できるダイアグラム作成キャンバスは、プロセスの初期段階からチームメンバーやステークホルダーが世界中どこからでもアクセスできるため、インタラクティブなプランニングセッションを実施する時に便利です。アイデア、事業の進行を阻害する問題、検討事項をキャンバスに記録し、以下にあげるようなさまざまな機能を使うことでさらにチームのアイデアを拡張できます。 

  • 文書は、主なアクションや課題を文書化し要約できます。 
  • 付箋を使えば、ブレインストーミングやその他のコラボレーション セッションで出たアイデアや意見を記録することができます 
  • 投票は、さまざまなアイデアや今後のタスクについてのチームメンバーからのフィードバックを集め、プロジェクトの最適な進め方を決定できます。 
  • 非公開モードは、 他のチームメンバーの付箋や投票のフィードバックを非表示にすることで、他者の意見の影響を受けずに、関係者全員が自分の正直な考えや意見をまとめることができます。 

共同作業をサポートするアーキテクチャー図の作成

Miro のような共同作業型の視覚的なダイアグラム作成ツールを使うことで、理想的なクラウドアーキテクチャのマッピングが可能になります。Miro のアイコンテンプレートを使ってアーキテクチャーのビジョンを定義し、導入したいサービスをマッピングすることができます。複数のバージョンを一か所で作成し、優先順位を定義し、プランに基づいてチームを調整することができます。 

ブレインストーミングやプロジェクトプランニングのための一般的なツールに加え、Miro はクラウド移行戦略や稼働後のアーキテクチャをマッピングするための専用のテンプレートやツールも提供しています。  例えば、オンプレミスからクラウドへの移行プロセスフローチャートテンプレートでは、プロセスをフローチャート形式で明確かつ管理しやすいステップに分解し、クラウド移行を簡素化することができます。 

また、AWS、Azure、Google Cloud などのサービスへの移行を支援するための、各プラットフォーム固有のテンプレートやツールも利用可能です。

Miro は AWS と緊密に連携し、AWS 専用のアイコンやテンプレートなど、Miro で AWS クラウド インフラストラクチャーをプランニングおよびデザインするための様々なツールを提供しています。AWS クラウドコスト計算を使用するとプランニングの余地が広がり、新しいクラウドインスタンスのプランニング時にコストを予測して、プロジェクトをスコープ内に収めることができます。最後に、AWS Cloud View ツールでは、Miro にデータをインポートすることで、既存の AWS インフラストラクチャのダイアグラムを作成することができます。 

このほかにも Azure アーキテクチャ図も用意されています。ここでは Azure 特有のアイコンとシンボルが使用されるため、Microsoft Azure の使い慣れた視覚的なフレームワークでアプリケーションをデザインおよびデプロイすることができます。

Google クラウド アーキテクチャ図も Google 専用のアイコンとシンボルを使用して、上と同様の機能を提供します。 

実装のプランとトラッキング

最初のアイデア出しとブレインストーミングが完了したところで、チームは Miro キャンバス内でプロジェクトのプランニングと管理モードに移行できます。このツールは、Jira インテグレーションタイムラインテーブル、予算プランニング、プロセステンプレートなど、このプロセスを支援する様々な機能を提供し、プロジェクト完了までの計画の整理と管理を支援します。 

検討すべきその他のクラウド移行ツール

Miro のようなダイアグラム作成プラットフォーム以外にも、クラウド移行プロセスの様々なステージで利用できる、目的別の専用ツールがあります。 

たとえばクラウド移行評価ツールは、現在のインフラストラクチャを評価して、移行に適したワークロードを特定します。データ転送ツールを使用すれば、ダウンタイムを最小限に抑えつつ、効率的かつ安全にデータを転送できます。 

移行オーケストレーション ツールは、リソースのプロビジョニングとデプロイを管理し、プロセスを自動化および合理化します。セキュリティツールは暗号化、脅威検出、コンプライアンス管理を可能にし、移行前、移行中、移行後のクラウド環境を保護します。

最後に、アプリケーションパフォーマンス モニタリング(APM)ツールは、クラウドベースのアプリケーションを追跡および最適化して、スムーズな動作を保証するとともに、移行中と移行後の両方でパフォーマンスの問題を特定します。これらのツールが一丸となって、シームレスで安全性が高い、効率的なクラウド移行を実現します。

移行の成功は正しい戦略から 

クラウド インフラストラクチャは現代の企業に大きなメリットをもたらしますが、そこへの移行は困難な作業になりがちです。適切なツールを移行プロセスの各ステージで使用すれば、このプロセスを簡素化かつ迅速化し、クラウドのメリットをより早く享受できるようになります。

クラウド移行戦略プランニングの準備はできましたか?

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