特性要因図とは? その効果と活用法に ついて10分で解説

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特性要因図は、問題の特定や分析に役立つ原因分析フレームワークです。直面している問題の潜在的な原因をブレーンストーミングし、それらの原因を視覚的に整理し、グループ化するための効果的な手法です。特性要因図作成ツールを使用して問題を引き起こしている原因をいち早く察知し、解決策の選定や原因分析をしましょう。

特性要因図(フィッシュボーン図)とは?

フィッシュボーン図とも呼ばれる特性要因図は効果的な問題解決ツールであり、問題自体の解決策に焦点を当てるのではなく、ブレインストーミングを通して問題の根本的な原因を特定して、長期的な解決策を選定するためのツールとして使用されます。

特性要因図は大きく分けて4つのパーツで構成されています:

魚の頭(特性):図の先頭には問題の特性を表す魚の頭があり、ここに解決したい問題の概要を記述します。ここから残りのパーツに枝分かれしていきます。

背骨:背骨は、魚の頭(特性・問題提起)から伸びており「特性」と「大骨」をつないでいます。各骨の先には、 問題解決プロセスの一部として考慮する必要のある原因要素が存在します。

大骨:背骨から伸びている線で、問題を発生させている大きな要因を表します。特性要因図では、大骨の情報を使用して 問題の潜在的な原因を突き止めます。

小骨:大骨から伸びている複数の線で、大骨で特定した問題を引き起こしている個々の小さな原因の特定に使用されます。

特性要因図は、1940年代初頭に東京大学の石川馨教授(1915〜1989)によって考案されました。石川馨教授は、すべての問題はワークフロー内の問題や非効率なプロセスによって引き起こされていると仮説を立て、問題の原因がどこにあるのかを特定し、長期的な解決策を見出すために特性要因図を利用しました。

特性要因図(フィッシュボーン図)を使用するメリット

特性要因図(フィッシュボーン図)を使用した問題の根本的な原因の分析にどのようなメリットがあるのかを見てみましょう。

問題の根本的な原因の早期発見

特性要因図は、問題解決に役立つビジュアルツールです。問題の原因をすべて1つのフレームワークに整理し「何がすべての問題を連鎖的に発生させているのか」を特定するために役立ちます。

さらなる問題の発生を阻止

問題の根本的な原因を突き止めることで、問題を根本から解決し、今後発生し得る問題の影響を軽減または阻止することが可能になります。また、このような事例を保存することにより、同じ問題や類似した問題を二度と起こさないためのリスク管理もできるようになります。

チームでの原因分析に活躍

特性要因図は、チームと協力して解決策をブレインストーミングするのに最適な方法です。この図を共同で作成することにより、チームメンバー同士がすべての情報を共有し、最適な行動方針を議論する際に情報リソースとして使用することができます。

リモートチームやハイブリッドチームのメンバーであれば、Miro のようなオンラインプラットフォームを使用することで、チームがどこで働いていてもコラボレーションを行うことができます。ビデオチャットに参加し、図を共有することでチームでの原因分析をオンラインで行うことができるようになります。

異なるプロセス間で問題を特定:

特性要因図はさまざまなシチュエーションで活躍するツールであり、ビジネスやプロジェクト内の異なるプロセスで発生している 問題が同じものかを分析することに活躍します。問題が同じ特性を持つ場合、問題解決のための労力を合理化し、複数のプロセスで 同時に発生している問題を一度に改善することが可能でになります。

特性要因図(フィッシュボーン図)の例

特性要因図が実際にどのように機能するのかを NEXT LEVEL Partners の CEDAC テンプレートでご覧ください。

CEDAC とは「Cause and Effect Diagram with the Addition of Cards」の頭文字をとったものであり、左側のあばら骨に問題点、右側に解決策が書かれた図のこのを指します。

CEDAC の考案者である福田竜二は、チームが問題解決のための分析をより深く行えるようにするために、CEDAC を作成しました。図にカードを追加していくことで、既存の情報を分析し、新しいアイデアを提案することができます。その結果、現在発生している問題をより深く理解することができや解決策をいち早く考案できるようになります。

ここでは、CEDAC モデルが役立つ一般的な例をいくつか紹介します。

製品開発:

CEDAC 図を使用すれば製品開発プロセス内で発生している問題を可視化することができるようになります。製品チームと協力して問題の原因を特定し、カードを使って最適な解決策を発見しましょう。

ソフトウェア機能:

CEDAC フィッシュボーン図を使って、特定のソフトウェアの機能内で発生している不具合を分析します。開発者に自分の考えや提案内容をカードに書き加えてもらい、新しいアイデアや解決策の選定を行うことができます。

製品設計:

製品設計内の問題点を明確にすることにより、効果的な解決策を発見することができます。 製品設計者はこの図のカードを使って、設計を改善するための新しい解決策を生み出すことができます。

社内プロセス:

ボトルネックを特定し、ビジネスプロセスを合理化、改善する方法を特定する際にもこの図が役立ちます。すべてのチームメンバーを含めて議論することで、今後プロセス改善のためを「チーム・組織として」考案することができるようになります。

特性要因図(フィッシュボーン図)の使用事例

特性要因図(フィッシュボーン図)は、さまざまなシチュエーションで役立つフレームワークです。

以下でその使用事例を見ていきましょう。

問題の分析:

ビジネスやプロジェクトにおいて明確な問題が存在する場合、特性要因図を使用して詳細な分析を行うことができます。 問題の原因を特定することにより、どのようにその原因にアプローチしていくかを決定することができます。

原因のブレインストーミング:

特性要因図は、問題の原因についての議論で役立つ情報ソースとして役立ちます。ブレインストーミングセッションを開催して、問題を明確化し、可能な解決策について議論する時にこの図が使用されます。また、Miro のようなオンラインプラットフォームで作業をすることで、チームがどのロケーションやタイムゾーンにいても簡単にコラボレーションすることができます。

新製品の設計:

特性要因図を使って新製品の設計をマッピングし、潜在的な問題を可視化、分析する際にこの図が活躍します。それにより、製品をリリースする間に発生し得るすべての不具合を事前に特定することができます。

プロセスの改善:

プロセスの合理化や効率化にも特性要因図が役立ちます。この図を使用することにより、プロセス内のどこが非効率なのかをピンポイントで特定し、原因の発見につなげることができます。原因を発見した後は、どのように問題を改善できるのかを考えましょう。

品質向上:

特性要因図は、サービスの質の向上にもよく使用されるフレームワークです。現状のサービス内のどこをどのように改善すれば、より質の高い体験を顧客に提供できるのかをビジュアルを通して分析できるようになります。

特性要因図(フィッシュボーン図)の書き方

Miro では以下の手順で、特性要因図を簡単に作成することができます。

1. 特性要因図テンプレートを選択する

Miro の特性要因図ツールを使用すれば、いつでもゼロから独自の図を作成することができますが、特性要因図テンプレートを選択することですでにデザインされた図をすぐに使用することも可能です。テンプレートは無料で使用できるため、いつでも簡単に図の作成を開始することができます。

Miro の特性要因図のフォーマットは新しいテキスト図形色を追加したり、画像やファイルをアップロードしたりして、いつでも自由にカスタマイズできます。また、外部のサイトのリンクを添付し、図に補足情報や背景情報を追加することも可能です。

2. 問題の定義

図をボードに追加した後は、まず問題を定義することから始めます。これは問題提起として知られており、図の先頭部分(魚の頭・特性)に記入されます。できるだけ精度の高い解決策を見つけるためには、できるだけ明確かつ簡潔な定義を記入するように心がけましょう。

例えば、下の図では「40%のユーザーが月頭に解約する傾向がある」というのが主な問題点です。この文のように問題を明確かつ簡潔に記述することで、解決策を見つけるための方向を決定することができます。

では、この問題提起文が「顧客維持率を高める」のような他の書き方をした場合、どうなるでしょうか?

この文章は、問題提起文としてはかなり曖昧で、他の意味でも解釈することができます。例えば「顧客維持率を高める」という文章はかなり漠然としており、色々なニュアンスを連想できるかと思います。「顧客維持率を高める」という誤った問題提起方法に固執した場合、必ずしも問題の解決につながらない別の手段に陥ってしまうということもあります。

問題提起は、必ずしも長くて詳細である必要はありません。むしろ、1文以内の短い文章にするのが理想的です。そうすれば、チームが問題を認識しやすくなり、図に追加する情報もできるだけシンプルなものに収めることができます。

問題提起を初めて行う場合や、ガイドとなるフレームワークが必要な場合は Prime Motive の「Problem Framing Workshop Template」を参照しましょう。

3. 根本的な原因の特定

問題提起が完了した後は、その問題の原因となる可能性のある要因をピンポイントで絞り込んでいきます。

具体的な原因は、問題提起の内容によって異なります。例えば、問題提起が製品設計に関するものであれば、根本的な原因として以下のようなものが考えられます。

・従業員 ・設備 ・材料 ・予算 ・技術 ・検査

これらはほんの一例です。実際に図で見たときに、より多くの原因を特定するといったこともあります。Miro は直感的に使用できるツールであるため、問題を記入するための必要な数に応じてボックスを簡単に追加したり削除することができます。

図に原因を追加する場合、最も大きな影響を与えているものを問題に最も近いボックスに記入しましょう。原因が図の先頭部分から遠ければ遠いほど、問題に対する影響力が弱いということになります。

4. 個々の原因の分類

個々の原因を分類することにより、全体の原因につながる個々の要素を特定することができます。 これは特性要因図(フィッシュボーン図)において、魚の骨の部分を指します。

この仕組みを例を使って説明します。

根本的原因の1つが「設備」であるとします。この項目に該当する可能性のある原因をいくつか挙げてみましょう。

・時代遅れの非効率的な機器を使っている。 ・既存の機器を交換するにはコストがかかる。 ・機器の使い方を知っている従業員が少ない。

上記すべての原因が問題を引き起こしている可能性もありますが、どの原因を現状の課題として優先するのかは、あなたとあなたのチーム次第です。これらの情報をすべてチーム内で確認し、どの問題が長期的な解決策になるのか議論しましょう。

個々の原因を特定する方法がわからない場合は「なぜなぜ分析」のフレームワークも活用しましょう。なぜなぜ分析は、潜在的な問題の背後にある理由を探ることに役立つシンプルなブレインストーミングツールです。

5. アクションプランを策定

問題の根本的な原因を特定した後は、改善のためのアクションプランを作成します。アクションプランでは、問題を解決するために必要なステップと、何を持って成功を定義するのかを明確にします(SMART ゴールのフレームワークも同時に活用しましょう)。

この段階では、いかにして持続的な改善を行うかに重点を置くようにしてください。目先にある解決策を優先して、問題の全体像を見失わないようにしましょう。特性要因図(フィッシュボーン図)の目的は、長期的な問題解決策を実施することなので、今後のアクションプランを立てる際には、このことを念頭に置くようにしましょう。

特性要因図6M法

特性要因図(フィッシュボーン図)は様々な業界で広く使用されています、元々は製造工程を改善するために作られたフレームワークであり、特性要因図の6M法は、このような背景を持つフレームワークから派生したものです。そのため、技術者やデザイナーとって非常に便利なフレームワークだと言えるでしょう。

以下で特性要因図の6M法について見ていきましょう。

Man(人材):まず1つめの「M」では人事に関わるすべての要素を考慮しましょう。製品など設計したり、 提供するために必要な要素です。

Method(方法):現在採用している生産工程や方法、製品の納品プロセスが正しいかどうかなど評価する工程のことを指します。

Machine(機械):プロセス内で使用されるあらゆるソフトウェアや、ハードウェアなどのシステムや、設備、ツール、 装置などのことを指します。

Material(材料):製品の生産やプロセスを完了するために必要な原材料や部品のことを指します。

Management(管理・マネジメント):管理プロセスや、システム、担当者がこのカテゴリーに分類されます。

Measurement(検査・測定): 製品、機械、またはワークスペースの物理的な測定値(量、体積、距離、温度など)を指します。

6M法は、製造または生産プロセスの改善を目的とした場合にのみ、特性要因図で使用されます。他の目的でこの図を使用する場合は、 6M法を使用してプロセス内の各要素を評価する必要はありません。

さっそく Miro の特性要因図を体験してみましょう!

特性要因図作成ツールを使用することにより、現在発生している問題の根本的な原因を効果的に特定することが可能になります。 さらにテンプレートを使用することにより、この図をあっという間に作成することができ、ボードの参加者すべてがコメントを 追加したり、アップデートを共有したり、テンプレート上で直接他のユーザーにタグ付けするなど、自由度の高いコラボレーションを 実現することができます。

新しい働き方を Miro で実現しましょう!

Miro はチームで課題を解決し、新しいアイデアを発見するための「ワークスペース」です。

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