チームのふり返り:KMQT(ケモキュート)
KMQT(ケモキュート)とは、チームでKeep/Moyamoya/Question/Tryの項目を出し合って活動をふり返る、ふり返りの方法です。
【Keep】印象に残っているよかったこと、これからも続けたいこと
【Moyamoya】プロジェクト活動の中で、なんとなく引っかかっていて気になること、"もやもや"すること
【Question】向きあっていきたい問い、探究していきたいこと("もやもや"を問いに変換すると?)
【Try】今後やってみたいこと
チームメンバーの一人ひとりが、なんとなく気になっているけれど、何が問題なのかよくわからないなど、うまく言葉にしきれない"もやもや"した感情をチームで語りあうのが特徴です。
"もやもや"を他者に語ることで、自分の中で思考の整理ができ、一人で抱え込んでいたものをチームと分かち合えるので、心が少し軽くなります。
ふり返りでよく使われるKPTの「P(Problem)」を「M(Moyamoya)」に変えてアレンジしたものです。
KMQTに期待できることは?
〔課題の種の発見〕
チームメンバー同士で"もやもや"を共有することで、チーム内で顕在化していない潜在的な課題の種を見つけ出すことができます。
〔チームづくり〕
一緒に活動していても、直接伝えなければ気づかない互いの内面の思考や感情を分かち合うことで、チーム内の関係構築にもつながります。
どんなときに使う?
プロジェクトチームで活動をふり返るときに使います。
チームでお互いに考えていたことや感じたこと、得た学びを分かち合い、チームや個々の活動に活かしていきます。
プロジェクト終了後に限らず、プロジェクトの途中でも使うのがおすすめです。
特に、「なんとなくうまくいっていない部分がありそうだけれど、明確な課題ではない」と思っているような状態のチームで、一人ひとりが感じている"もやもや"を開示することをおすすめします。
使い方の手順【参考例】
人数:2人〜
時間:60分〜(目安)
※参加人数によって「③KMQTを共有しあって対話しよう」にかかる時間が前後します。
※「②一人ひとりKMQTを記入しよう」を事前宿題にするか、ふり返り会のその場でやるかによって、ふり返り会に必要な時間は変わります。
①KMQTボードを準備しよう
ファシリテーターは、KMQTボードをコピーして記入欄を作りましょう。
KMQTボードをチームで1枚使うか1人で1枚使うかは、ふり返る活動の期間によって決めましょう。
②一人ひとりKMQTを記入しよう
ファシリテーターは、ふり返り会の参加者へmiroボードを事前に展開し、時間がある人は事前に記入してきてもらえるようにしましょう。
みんな忙しくて事前記入が難しい場合などは、事前記入を強制せず、ふり返り会の最初に記入する時間をとりましょう。
Tryはまだ最初に記入しなくても大丈夫なことをチームメンバーへ伝えておきましょう。
"もやもや"は、課題なのかわからない、なんとなく気になっていることも含めて書いておききましょう。
③KMQTを共有しあって対話しよう
チームメンバーで集まり、それぞれが書いたKMQTを一人ずつ共有しましょう。
一人が書いた内容を共有したら、聞いていた他のメンバーは詳しく聞きたいことや気になったことを質問したり、そのメンバーの話に基づいて自分が考えたことを言ったりしながら、チーム全体で少し対話をしましょう。直接発言してもMiroに書いても大丈夫です。
個々の内容の共有→対話を人数分繰り返します。
チームの人数が多い場合は、全員で一人ずつ共有する時間が足りないこともあるので、小グループに分かれて共有し合いましょう。
グループ間で話した内容の要点を後で共有したり、同じグループにならなかった人の内容を後で確認するなどして、なるべくチーム全体の内容を把握するように工夫しましょう。
④ふり返り会の感想を共有しよう
ふり返り会の最後に、それを行っての感想を一人一言ずつ言い合って終わりにしましょう。
得られた気づきや今後への意欲を共有しましょう。
⑤QuestionとTryを見直そう
ふり返り会での対話を踏まえて、向き合いたい問い(Question)と今後やりたいこと(Try)を整理しましょう。
今すぐの具体的なアクションが思い浮かばない場合は、無理にTryを書かなくても大丈夫です。"もやもや"を問いに変えて、引き続き受け止めながら深く考えすぎずに長い目で向き合いましょう。
チームで"もやもや"を開き合うときの注意点
"もやもや"について必ずしもすぐに課題を特定し、解決策を打ち出す必要はないという前提をもった上で、KMQTふり返りを実施しましょう。
まずは、チーム内でお互いの"もやもや"を受け止めあうだけでも、その後のチーム内コミュニケーションがしやすくなっていくものです。
すぐに効果が感じられるものではないかもしれませんが、"もやもや"をわかちあうことは、じわじわとチームに効いてくる漢方のようなものだと捉えて使いましょう。
Chiemi Taki
ReflectionResearcher/ExperienceDesigner @ MIMIGURI
株式会社MIMIGURIでリフレクションやナレッジマネジメントの実践&研究を中心に活動しています。チームづくりのためのふり返りの方法やツールのデザイン、個人やチームの暗黙知を抽出する方法の探究、組織内で知を開きあい巡らせる方法などを実践しながら研究しています。